その勝利が単なる幸運でなかったことは、4週間後の第11戦ドイツGPでの2勝目が大きく物語っている。このドイツGPではトロロッソ・ホンダもダニール・クビアトが3位表彰台を獲得した。トロロッソにとって2008年イタリアGP以来、11年ぶりの快挙だった。この表彰台獲得の最大の要因は、最後のピットストップでライバルたちよりも早くドライタイヤに交換するという絶妙な戦略にあったが、ホンダもしっかりとサポートしていた。
残り10周、トロロッソ担当のチーフエンジニアを務める本橋正充氏は、信頼性を多少犠牲にしてもエンジンのパフォーマンスを上げるモードを使用する許可をトロロッソ側のレースエンジニアに伝えていたからだ。残念ながら、残り2周でクビアトはベッテルにかわされるが、メルセデスPUを搭載するレーシング・ポイントのランス・ストロールを抑えての3位表彰台だった。
スペック3のパフォーマンス向上は、前半戦で課題に挙げられていた予選でも改善していた。第10戦イギリスGPでは予選でフェルスタッペンがポールポジションからわすが0.183秒差の4番手を獲得。第12戦ハンガリーGPではフェルスタッペンがレッドブル・ホンダとしての初のポールポジションを獲得した。
スペック3が投入された第8戦フランスGP以降、夏休み前の第12戦ハンガリーGPまでの5戦で、フェルスタッペンが獲得したポイントは93点。これはランキングトップのルイス・ハミルトン(メルセデス)の88点よりも多く、もちろん20人中最高得点だ。