ハミルトンがテスト期間中、フルアタックらしいラップタイムを残せなかったのも、さらにことを不可解にする点だ。冬場のテストということもあり、暖かい午後のコンディションが一発のタイムを出せる好機とも言え、ハミルトンには第2回目テストの2日目(通算5日目)にアタックのタイミングが設定されていた。

 しかし、ここでメルセデス製パワーユニット(PU)のエンジン油圧系にトラブルが出てシャットダウン。わずか14周で走行を終えてしまい、予選シミュレーションを行なうことがかなわなかった。

ルイス・ハミルトンがドライブするW11
ルイス・ハミルトンがドライブするW11

 F1歴代最多ポールポジション獲得ドライバーであるハミルトンであれば、メルセデスの新型マシンW11でさらにタイムを伸ばすことができたのか、それも不明のままだ。

 メルセデスは新車テストで一発のタイムではなくロングランをより重要視するスタンスだとはいえ、このトラブルは痛かった。

 なお、PU関連のトラブルはカスタマーチームであるウイリアムズにもテスト期間中に複数回出ており、しかも原因がそれぞれに異なるとされている。今年のメルセデスPUは最強パワー奪回にかなり広範囲な開発が行なわれており、それが信頼性低下につながっているのであれば不安材料でしかない。

 またメルセデスが投入するW11シャシーについても、前年型とほぼ変わり映えがしないというのが衆目の一致するところだろう。各所にファインチューニングは施されているが、チームが言うところの「正常進化型」だ。たとえば同じ正常進化型とするレッドブルは、それでも随所に新アプローチを入れてきている。

 1年前は初回と2回目テストで空力パッケージを一新させて大幅な競争力アップにつなげたメルセデスだが、今年はそれもなかった。だからこそ、補助的なシステムに過ぎない“DAS(デュアル・アクシス・ステアリング)”ばかりが騒がれるのだ。

 新車の開幕パッケージは、ここから大きく変わることはないのか?

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