更新日: 2020.07.14 22:29
【F1第2戦無線レビュー】リタイアするまで同士討ちを知らされなかったベッテル「だれだ?いきなりイン側からぶつけられた」
F1第2戦シュタイアーマルクGPはルイス・ハミルトン(メルセデス)がポール・トゥ・ウインを達成。予選2番手の位置からスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)は、バルテリ・ボッタス(メルセデス)の追撃を振り切れず3位表彰台。一方のフェラーリ勢は新型フロントウイングを投入もまさかの同士討ち、データをとることなくレースを終えた。そんなF1第2戦の模様を無線とともに振り返る。
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F1史上初となる同じサーキットでの2週連続開催。しかし、F1第2戦シュタイアーマルクGPは土曜日に雨が降って、予選は大混乱。スターティンググリッドが1週間前と大きく変わったため、レースは1周目から激しい戦いが展開された。その中で、スタート直後に同士討ちを演じたのがフェラーリだった。3コーナーでセバスチャン・ベッテルのインに強引に飛び込んだシャルル・ルクレールは止まりきれずに追突。ベッテルはリヤウイングが脱落してスローダウンを余儀なくされ、ルクレールもフロアに大きなダメージを負った。
ベッテル:マシンにダメージがある。だれかが僕のリヤウイングをもぎ取ったようだ。
フェラーリ:OK、BOX。
ベッテル:コピー、BOX。だれが(僕のリヤウイングを)もぎとったのかわからないけど、とりあえずピットインするよ。
フェラーリ:セーフティカーが入ったけど、BOXしろ。
ベッテル:わかっている。いまスロー走行しながら、向かっているよ。
ピットインしたベッテルのマシンを見たチームは、リタイアを決断。
フェラーリ:ガレージにマシンを入れる。
ベッテル:マジで。
フェラーリ:そうだ。損傷がひどい。
ベッテル:ああ、かなりひどいな。でも、だれだ? 普通に3コーナーを通過しようとしたら、いきなりイン側からぶつけられた。ア゛ーーーッ。
フェラーリ:了解……。
このとき、チームはだれがベッテルに追突したのかわかっていた。しかし、それを無線で伝えなかったのは、それがチームメイトだったからだ。逆にルクレールは、この時点で自分が犯したミスの大きさをまだ理解していない。
ルクレール:マシンをチェックしてほしい。だれかがリヤから激しく追突してきた。リヤのダメージは?
フェラーリ:スロー・ボタンをオンにしろ。
ピットインしてタイヤを交換してコースに復帰したルクレールだが、マシンに負ったダメージが大きく、満足に走ることができない。
ルクレール:リヤがおかしい。マシンは大丈夫?
フェラーリ:フロアにダメージがある。
ルクレール:かなりひどいのか?
フェラーリ:ターン3の後は(走行ラインではない)右側のラインを走行しろ。
ルクレール:ノー、ノー。それっておかしくない? お願いだから、教えてよ。ダメージは大きいのか、それとも小さいのか? いったい、どうなってんの?
フェラーリ:まだ、ハッキリはわからない。ただ、フロアの左側にダメージがあるようだ。
ルクレール:僕は最後まで走りたい。やれるかどうかはわからないけど、とりあえず、やらせてほしい。
しかし、チームはリタイアを決断。4周目にルクレールをガレージに戻した。そして、約15分後にテレビ局のインタビューに出てきたふたりが最初に語ったコメントがこうだった。
ベッテル:イン側にスペースはなかった。だから、シャルルがオーバーテイクを仕掛けてくるとは想像もしなかったよ。
ルクレール:これは言い訳できないミスだ。自分が情けない。チームをガッカリさせて、本当に申し訳ない。