このクラッシュで13周目にセーフティカーが導入されると、各車一斉にピットイン。しかし、ピットロード入口直前を走行していたキミ・ライコネンに対して指示を送る際に、アルファロメオのレースエンジニアは少し混乱してしまう。
アルファロメオ:セーフティーカーが入った。BOX、BOX
ライコネン:本当か?
アルファロメオ:いまピットストップする必要がある
ライコネン:わかった
アルファロメオ:BOX、BOX、BOX
しかし、次の瞬間、戦略を変更する。
アルファロメオ:ステイアウト、ステイアウト、ステイアウト
だが、その時すでにピットロードに入っていたため、ライコネンの逆鱗に触れてしまう。
ライコネン:おい、いまさら何言ってんだよ。そんなのクソ遅すぎるんだよ
すぐさま、レースエンジニアは「OK、わかった」とライコネンのピットインを受け入れるが、怒り心頭に発してしまったライコネンは気持ちは収まらない。
ライコネン:一度、『入れ』って言っておいて、何を言ってんだよ。信じられないね
アルファロメオ:OK、キミ。わかった。わかった
ライコネンのチームに対する不信感は、レース中盤のこんなやりとりからもわかる。
ライコネン:なんかリヤが大変なことになっている。何が起きているんだけど……
アルファロメオ:風が強くなっている。みんなも突然吹く追い風に苦しんでいるから気をつけろ
しかし、その後ライコネンはフロントウイングを失いピットストップ。完走したドライバーの中で最後尾となる17位でフィニッシュした。レース後、ライコネンは「こんなレースになるとは思っていなかった。ピットストップ後、なぜかペースが上がらなかった。何が起きていたのか、分析する必要がある」と語った。
今年のアルファロメオは開幕戦のオーストリアGPでも、レース中にライコネンの右フロントタイヤが外れるトラブルを起こしている。オーストリアGPもイギリスGPも、大きな事故にはならなかったから良かったものの、どちらも大事故につながりかねないアクシデントだった。徹底した調査と検証が求められる。