MotoGP現地トピックス:ル・マンの3コーナーと相性が悪かったホンダのマルケス
MotoGP第5戦フランスGPの現地情報を二輪ライターの遠藤智氏がお届け。マルク・マルケスの転倒に加え、バレンティーノ・ロッシがファイナルラップでまさかの転倒を喫するなど、驚きの展開が多かったフランスGP。果たして現地ではどのようなことが起こっていたのか。
昨年のチェコGPでヘルメットメーカーとしては初の冠スポンサーになった韓国のHJC。今年はフランスGPの冠スポンサーとなり、開幕前日には雨の中でHJC契約ライダーが全員集合しての写真撮影が行われた。
一昨年まではホルヘ・ロレンソがHJCのエースライダーだったが、昨年ヘルメットメーカーを移籍。ロレンソに支払っていた契約金が浮いたので冠スポンサーになったのではと噂されたときもあるが、もしそうだったとしてもなかなか宣伝効果は高そうな印象だった。
金曜日、土曜日と不安定な天候となったフランスGP。フルウエットとなった金曜日の午後の走行では、カーボンディスクで走行したライダーが多く、注目を集めた。
昨年のマレーシアGPでマルク・マルケスがカーボンブレーキで決勝に挑み注目を集めたが、このセッションでは全体の半数近くのライダーがカーボンディスク(フルカバー付き)のテストを行っていた。
フランスGPの予選は、マーベリック・ビニャーレスが今季2回目のポールポジションを獲得。バレンティーノ・ロッシが2番手、ヨハン・ザルコが初フロントロー獲得の3番手となり、ヤマハ勢がフロントローを独占した。
ヤマハがフロントローを独占するのは2008年のカタールGP(ホルヘ・ロレンソ、ジャームス・トーセランド、コーリン・エドワーズ)以来、9年ぶり。決勝で表彰台を独占すれば、2008年のフランスGP以来(ロッシ、ロレンソ、エドワーズ)9年ぶりとなったのだが、最終ラップにロッシが転倒したことで実現しなかった。
昨年に続き、今年もタイヤの選択がリザルトに大きく影響している印象だが、フランスGPで表彰台に立った3選手のタイヤ選択は、見事に分かれた。
優勝したマーベリック・ビニャーレスは前後ミディアム。2位のヨハン・ザルコは前後ソフト。3位のダニ・ペドロサはミディアム/ソフト。その中でも2位になったザルコは、ライバルたちが「信じられない」というソフトを選択した。
ザルコが序盤トップだったことは理解できるとしても、後半になってもペースをキープしたことに驚いていた。
ヤマハのスタッフに「どうしてザルコはソフトで最後まで走れるのか?」と聞けば、「わからない」と即答。確かに、フロントにソフトは無理というライダーがほとんどであり、今大会最大の謎となった。