今季初テストでもっとも注目を集めたのは、ヤマハからドゥカティに移籍したホルヘ・ロレンソ。3日間総合で10番手。「大きく前進した」と語るも、3日間を通じてピットの表情は厳しかった。課題は、止める、曲げる、加速するというみっつの要素の中で、最初のブレーキングが決まらないこと。その結果、得意のコーナーリングスピードを生かせないというものだ。
ドゥカティの課題は、ブレーキングの安定性を求めるとコーナーリングが悪く、コーナーリングを重視するとブレーキングが良くないというもの。アンドレア・ドビジオーゾのライディングにいまの車体は合っているが、ロレンソには合っていないのか……。ライディングスタイルはそう簡単に変えられないし、オーストラリアテストに注目だ。
MotoGP新規参入のKTM。3日間のテストを終えて、ポル・エスパルガロはトップから1.970秒差の21番手。ブラッドリー・スミスは同タイムで22番手だった。
新規参入チームは、エンジン使用数、開発禁止ルールの除外などで優遇されるが、それをどこまで生かせるのか。共通ECUの採用、タイヤの1社供給でクラス全体の差は縮まっているが、それだけに、その差を縮めて行くのが難しくなっている。
ディフェンディングチャンピオンのマルク・マルケスは、3日間総合で3番手。エンジン、車体の膨大なテストメニューをこなし、まずまずの初テストとなったが、マルケスとしては、フラストレーションのたまる初テストだったのかも知れない。
しかし、昨年もマシンが仕上がるまで我慢の走りをしたことがタイトル獲得につながった。今季初テストも、最後にロングランを実施してアタックのチャンスはなし。「アタックするよりもロングランが大事」という言葉が3番手に終わった悔しさを感じさせているが、この我慢が連覇につながるのかも知れない。
スズキからヤマハに移籍して速さに磨きをかけたマーベリック・ビニャーレス。昨年11月のバレンシアテストでトップタイム。今季初テストでトップタイムと今年の活躍を予感させる。
コースインすると5ラップしてピットへ。というリズムで3日間をこなす。ビニャーレスの好走の要因のひとつは、ミシュランタイヤとの相性の良さ。次のオーストラリアテストも得意のコースとするだけに連続トップタイムをマークすることになるかも。ビニャーレスの快走にますます注目があつまりそうだ。
MotoGP復帰3年目にして初めて行われたチームの体制発表会。テスト開始前日にサーキット内で行われたが「こういうのを開催したのは記憶がない。もしかするとシュワンツ以来かも・・・」と、寺田覚プロジェクトリーダー。昨年は復帰2年目にして初優勝。コンストラクターズタイトルは2年連続4位も3位のドゥカティに大きく肉薄した。
今年はアンドレア・イアンノーネとルーキーのアレックス・リンスの新体制。一からの出直しも「早く2勝目を達成したい」(寺田プロジェクトリーダー)とチーム一丸。

