「スケジュールを見れば非常に野心的なカレンダーであることがわかるだろう。地元ドライバーからも大きな関心が寄せられると信じている」と今季ツアー最終戦マカオを前に、連戦を実施した豪州の地元情報サイト『nine.com.au』に語ったのは、WSC会長を務めるマルチェロ・ロッティだ。
現時点で公式に確認されている2024年のTCRワールドツアー開催ラウンドは、11月のシドニー・モータースポーツパークとバサーストでのオーストラリア連戦のみだが、残りのラウンドはモロッコ、南北アメリカ大陸、中国、マカオ、そして欧州ではイタリアでの1戦のみになると見られている。
そして当初は今季導入予定だった共通ハイブリッドの“HTCR(仮称)”だが、開発を主導するWSCは昨年末にも「2024年への導入延期」を発表していた。しかし前出のロッティは、その期限が「さらに2025年以降に後ろ倒しされる」可能性を示唆した。
「新機軸のTCRワールドツアーでは、世界各国のさまざまなチャンピオンシップにジョイントする。こちらはハイブリッドなしで走り、もう一方はハイブリッドありで走ることはできないだろう?」と続けたロッティ。
「少なくとも選ばれたすべてのイベントにおいて、ハイブリッドであろうとなかろうと全面的に同じ技術レギュレーションを適用する方が良い。そして、これが昨年初めの我々のアイデアだった『OK、ハイブリッド導入は2024年に延期しよう』とね」
「個人的には100%正直に言いたいから、現状は『まだ未定』だ。現在、各イベントプロモーターと3年契約を結んでいる最中で、2024年からすぐに導入できるとは言い切れない。まずはカレンダー策定が最優先で、そこが安定したら……おそらくハイブリッドに着手する時期が来るだろう」
その2024年に予想されるのはFIAチャンピオンシップのステータス認証で、議論は進行中ではあるものの、ロッティもハイブリッドの遅れが影響を与える可能性があると認めた。
「来季に向け『FIA TCRワールドツアー』としてタイトルを掛けるべく、WSCとFIAの間で合意が得られるかどうかを話し合っている。FIAの目標はより環境に配慮したものにすることで、ハイブリッドは彼らにとって良い議論だ。彼らは明らかにこのキットをできるだけ早く使用したいと考えている」と明かしたロッティ。
「率直に言って、2024年にすべてを含めるのは困難だが、12月の第1週にはFIAを含めいくつかの会議がある。すべてが正しい方向に進んでいる場合、おそらくその時点で我々も何らかの決断を下すことになる。現時点では、ふたつの新規車種を国際的に展開することで、この分野を拡大できると考えている」
その1台が前述のクプラ・レオンVZ TCRを指し、もう1車種は南米大陸発のトヨタ・カローラGRS TCRだと見られ、アルゼンチンを拠点とするトヨタ・チーム・アルゼンティーナ(TTA)は、兼ねてより世界戦への挑戦に意欲を示している。

