そんなプルーエットは、この2023年に『ダッジ・ダイレクト・コネクション・トップフューエル・ドラッグスター』をドライブして年間2勝を挙げ、キャリアハイとなるドライバーズランキング2位を獲得。そんな成長を遂げたシーズンを最後に、自身の伴侶に“夢の続き”を託すことになる。
「こうして“Winner-take-All”のシーズンフィナーレに出場し、トップフューエル世界チャンピオンシップで優勝するという長年の夢の実現に、これまでで最も近づいた瞬間だった」と最終戦を振り返ったプルーエット。
「私たちはそれを味わうことができるほど近くにいたけれど、それは私たちの時間ではなかった。結局のところ、多くの人が人生の最大の喜びとして共有しているもの……つまり自分の家族に私たちが祝福されるかどうかは、これからの私たち次第だと思う。トニーも私も私生活を非公開にすることを好むけれど、この発表をパートナー、チームメンバー、ファンと共有できることを光栄に思っている」
「いつシートに戻るかについての保証や約束はないけれど、できるだけ早く戻るつもり。私の心のすべては──とくに今年のように限りなく王座に近づいた後は──準備ができたらすぐにトップフューエルの運転席に戻るつもり、今はそう思っている。実際のところ、私はトニーが個人的にも職業的にも優れた人材とともに、パフォーマンスが良く安全なドラッグスターを手に入れられたことに興奮してるの」
最終的に4勝を飾りトップアルコール・ドラッグスターでも年間2位を得たスチュワートは、来季2024年3月の開幕戦『NHRAゲーターナショナルズ』でトップフューエルへのデビューを果たす。
「私は妻をとても誇りに思っている」と、モータースポーツにおける43年連続の勝利とNASCAR、インディカーに続くNHRAでの勝利記録も手にしている52歳のスチュワート。
「このような決断を下すのは非常に難しいことだろう。男性の視点から見ても、それを完全に理解できるとは思えないからね。競争力のあるプロのレーシングドライバーになり、家庭を築くためにシートから離れる決断をしなければならないというのは、ほとんどの男性が望むような立場や決断ではない」
「私たちは家族を作ることについて真摯に話し合ってきたが、これが彼女の決断だった。その話し合いのなかで、私たちは『そのタイミングは彼女次第だ』という結論に達した。彼女が今、それをやりたいのか。それとも何年も後にやりたいのか。私自身はとても協力的であり続けた。リアとニール(・ストラウスボー/クルーチーフ)が、私こそが彼女の代わりになるドライバーだと感じてくれたことに、とても恐縮しているんだ。妻とこのチームのためにそれができることを心から光栄に思っている」