FIA F2とFIA F3のチームスタッフは、ピットレーンで仕事に取り組む際に長ズボンを着用する義務がある。これはFIA F2とFIA F3の競技規則22条15項の『すべてのチームおよび技術スタッフは、すべての練習走行およびレース中、ピットレーンでは長ズボンを着用しなければならない』で明文化されている。
意外にもこの22条15項による違反は、例年春から初夏にかけてたびたび発生しており、2026年FIA F2第5戦バルセロナでもチームに500ユーロ(約92,680円/公示日のレート換算)の罰金という裁定が下っていた。
審査委員会発表によると、6月12日(金)の予選セッション中にカンポス・レーシングの6号車(ニコラ・ツォロフの車両)に携わるチームスタッフがピットレーンの作業エリア内で半ズボンを着用しており、これが先に記したFIA F2競技規則22条15項違反ではないかという疑いが生じた。審査委員会は予選終了後、カンポス・レーシングの代表者を召喚し聴取を実施した。
カンポスレーシングの代表者は、半ズボンを着用していた男性は6号車のフィジオ(理学療法士/チームではなくドライバーと契約を結ぶケースが多い)であり、カンポス・レーシングで実務を担当するチームメンバーではないと主張。ただ、審査委員会は過去の判例に準じ、22条15項は『フィジオを含む車両付近で作業にあたるすべての人員に適用される』と判断し、カンポス・レーシングに対し500ユーロの罰金を課したのだった。
また、今季第2戦マイアミのフリー走行では、AIXレーシング(エマーソン・フィッティパルディJr.担当スタッフ)、ダムス・ルーカスオイル(ロマン・ビリンスキー担当フィジオ)が同様の違反で500ユーロの罰金を支払っており、22条15項違反による罰金は今季3度目の事例となった。
なお、罰金は裁定の通知から48時間以内に、FIA国際自動車連盟に向けて銀行振込で対応しなければならない。
■フェラーリ育成カマラ、初優勝で選手権7位から3位に浮上
FIA F2第5戦のフィーチャーレースでFIA F2初優勝を飾ったラファエル・カマラ。四輪ステップアップ前からフェラーリ・ドライバー・アカデミーの一員として強力なサポートを得ると、2024年に激戦のフォーミュラ・リージョナル・ヨーロッパ、そして2025年FIA F3でチャンピオンに輝き、2026年のFIA F2にはチャンピオンチームのインビクタ・レーシングからデビューするという、エリート街道を歩んできた。
ただ、開幕戦メルボルンのフィーチャーレースで2位、第2戦マイアミのフィーチャーレースで3位となるも序盤戦は勝利に恵まれず、第4戦モンテカルロでは初ポールポジション獲得も、フィーチャーレースはマシントラブルでリタイアとなっていた。モンテカルロ終了時点でカマラは選手権7位、同じくフェラーリ育成のディーノ・ベガノビッチ(ダムス・ルーカスオイル)が4点差の選手権6位につけていた。また、ベガノビッチはバルセロナの週末に3度目のF1フリー走行1回目にも出走していた。
それだけに、バルセロナのフィーチャーレースにおけるポール・トゥ・ウインはカマラの悲願だった。
「ようやく長い間示してきたポテンシャルを、結果に繋げることができて本当に、本当に嬉しいね。モナコでは優勝を逃してしまった。だけど、そのわずか1週間後に優勝を果たすことができた。何と言えばいいかな……素晴らしい週末だった」と、カマラ。
「スタートからクルマにとても馴染むことができ、選んだ戦略も完璧だった。でも、レースは決して楽なものではなかった。序盤はタイヤマネジメントしなければならず、終盤のスティントでは順位を挽回するために全力を尽くさなければならなかった。でも、すべてが上手くいき、この結果でチームとフェラーリ・ドライバー・アカデミーのみんなに報いることができて本当に嬉しいね」
バルセロナで計30点を重ねたカマラは選手権首位のガブリエレ・ミニ(MPモータースポーツ/アルピーヌ育成)から17点差の選手権3位に浮上した。
■前年2位チームのハイテックが暫定8位。「シーズンはまだ長い」
2025年シーズンをチームランキング2位という成績で終えたハイテック。ただ、FIA F2参戦3年目の宮田莉朋と参戦初年度のコルトン・ハータ(キャデラックF1テストドライバー)というラインアップに刷新した2026年、序盤戦は苦戦が続き未だ表彰台を獲得できていない。そしてバルセロナでの得点はハータの4点に留まり、暫定チームランキングは8位となっている(ランキング7位トライデントとは同ポイント)。
バルセロナ終了後、ハイテックがチームの公式サイトに掲載したFIA F2レースレポートにはドライバー陣のコメントはなく、ハイテックのFIA F2レースエンジニアリング責任者を務めるヤン・スーマンのコメントが掲載された。
「我々にとって、この週末は明暗が分かれる結果となった。一方でペースは良く、ポイントを獲得することができた。コルトンは初の表彰台を目指して素晴らしい走りを見せてくれた。シーズンはまだ長いからチャンスはたくさんある。両ドライバーともこの厳しい週末を乗り越え、2週間後のシュピールベルクに向けて前向きな姿勢を持ち続けていく」
キャデラックF1の次のレギュラー有力候補のハータ、そして日本の宮田がハイテックから出走しているだけに、ハイテックの復調が実現される日を心待ちにしたい。



