6周目が終わったところでSCがピットイン。レース再開となった。優勝のふた文字が明確に見えてきたマキシミリアンは格上のF2ドライバー、セッテ・カマラに果敢に仕掛け、何度もリスボアのブレーキング勝負にでる。
しかしセッテ・カマラも絶妙なライン取りでマキシミリアンに付け入る隙を与えない。とはいえセッテ・カマラ自身のラップタイムは決して速くはなく、緊張感に包まれた膠着状態が続く。
10周目終了時点で各車とも1秒と離れていない状態のなか、最初に動いたのはハプスブルク。11周目のメインストレートでマキシミリアンのスリップに入り、マンダリンコーナーで一気にその差を詰め、今シーズン絶好調のVWパワーを余すことなく使い切りマキシミリアンをオーバーテイク。
さらにマキシミリアンにノリスが接近。VWパワーでマンダリン後のストレートでスリップを使い、リスボアのブレーキングでオーバーテイクを仕掛けるがマキシミリアンもギリギリまでブレーキングを遅らせてこれをディフェンス。何とかポジションをキープする。
そこへ今度はノリスの背後から今回のダークホース、レッドブルのJr.ドライバー #18 ダニエル・ティクタム(モトパーク・ウィズVEB)が迫り今年の新チャンピオン、ランド・ノリスに揺さぶりをかける。
13周目、3位のマキシミリアンから7位の #26 ペドロ・ピケ(VAR)までが1秒以内の大接戦。さらにこのラップのメルコヘアピンでは全車のテールとノーズがタッチする状態にまでなり、各車の間隔はほぼゼロに。
コーナーでは後続を何とか振り切っているマキシミリアンだったがストレートではあっさりとVW勢に追いつかれ、14周目のマンダリンでスリップにつかれ、リスボアのアプローチではマキシミリアン、ノリス、#25 ラルフ・アーロン(VAR)、ピケの4ワイドに。
ここでマキシミリアンは同じメルセデスエンジンを積むアーロンとピケは抑えられたもののVWパワーには勝てずティクタムとノリスの先行を許してしまう。さらにサンフランシスコヒルの入り口でアーロンにも刺されてしまい6位へと後退。
レースはその後、トップ2台がゴールラインの僅か数百メートル手前でクラッシュするという大荒れの展開となり3位を走行中のティクタムがまさかの優勝。
クラッシュしたセッテ・カマラとハプスブルクのパーツがコース上に散乱するのを掻き分けながらマキシミリアンは1ポジション繰り上がり5位でフィニッシュ。
残念ながらこれが今年のセオドールレーシングの最上位となった(2014年のニコラス・ラテフィーと同じワースト・タイ)。
一方の周は終始8番手前後を走行。サードグループのトップにいたものの、それ以上詰める事はできず、結局8位でゴール。
タイヤ交換とギヤボックストラブルで大きく遅れをとったカラムとミックはそれぞれ15位、16位で完走となった。
第64回マカオグランプリ FIA F3ワールドカップは残念ながら、片手に勝利を掴みながらも、もう片方の手はそれを掴めず、最後は両手からスルリと抜けてしまった。
これでカムバックからの5年間、5回のグランプリで優勝2回、2位が1回、5位が2回と決して悪い成績ではないが、勝つ為のチームである私達の使命からするとこのままでは終わらせられない。
来年はさらに強くなってこのマカオにふたたび戻ってきます。日本からのたくさんの応援、本当にありがとうございました。