マシンのセッティングが遅々として進まない。少しでも情報が欲しい状況だが、チームメイトのホークスワースはステアリングトラブルで予選を一切走れず。レース1には最後尾グリッドから出場する予定だったが、今度は燃料ポンブにトラブル。0周リタイアで、ここでも有益なデータをもたらすことができなかった。
■アクシデントが作戦を台無しに
そしてレース2、琢磨はブラックをスタート用に選んだ。レース1と作戦を変えた結果、完全なる少数派となれたので、ピットタイミングをズラせば空いているコースで速いラップを重ねることが可能。そこに活路を見出せる可能性が得られた。

しかし、1ラップ目のターン1入り口で“もらい事故”。どこまでも巡り合わせが悪い。琢磨にとって救いとなる雨も、とうとう降らず仕舞でレース2もゴールを迎えた。
琢磨はレース2で10位フィニッシュ。今年3回目のトップ10入りだが、表情は厳しいままだった。
「雨を期待してのブラック選択だった。降らない場合でも、みんながショートスティントとしてピットに入れば、自分たちが上位に進出できる可能性があった。どっちに転んでもブラックでのスタートという戦略はよかったと思う」と琢磨。
セイフティクルーの迅速な仕事によって周回遅れにならずに済んだ彼は、最後尾からの追い上げた。次のピットストップでタイヤをブラックに戻すと、好ペースでコンスタントに走れるようになり、上位陣に遜色のないラップタイムを重ねて行った。

2レース目の半ばまできて、ようやく琢磨のマシンはそれなりの戦闘力を発揮するレベルに達したのだ。しかし、その勢いをゴールまで保ち続けることができなかった。終盤に入るとまったくペースが上がらなくなった。原因は完全に究明されていないが、琢磨は、「タイヤの内圧マネジメントが狂っていた可能性がある」と話していた。
■再構築が必要なストリートセッティング
レース2でも苦境は改善されていなかった。「デトロイトは去年までずっと良かっただけに、コンペティティブなレースを戦いたかった。マシンセッティングに関して、僕らのチームには大きな課題が残された」と険しい表情の琢磨。
「今年は1ラップにつき1秒半ぐらいペースが速くなっていた。マシンにかかる負荷はロードコース並に大きく、もうストリートっぽくない状況になっていた。ターン1~2では4G近くもかかる。そんなストリートって聞いた事がない。もうミド・オハイオのターン1と同じぐらいの感じになってる。クルマの作り方もストリート用じゃなく、ロードコースのものに近い考え方でやっていかないとダメなのかもしれない」と彼は分析もしていた。
今シーズンに残されたストリートレースは、もうトロントだけ。AJフォイト・レーシングのエンジニアたちは全長1.5マイルのハイバンクオーバル=テキサス、新規開催の超高速ロードコース=ロードアメリカ、8分の7マイルのショートトラック=アイオワでのレースを戦いながら、7月中旬のトロントまでにストリートコース用のマシンセッティングを再構築しなくてはならない。