ダウンフォースをつけ過ぎたのか? と最初は考えられたが、原因はクルーの作業ミスにあった。車高設定で必要な手順がひとつ抜けたため、ノーズは低過ぎ、リヤは高過ぎるマシンとなっていたのだ。

「明日のプラクティスファイナルで満タンのチェックなどを行う。マシンは絶対にいいはずなので、後方スタートでも追い上げる」と琢磨はレースに気持ちを切り替えていた。ところが、そのプラクティスは雨のため、確認作業は行えなかった。

 予報の通りに決勝までに空は晴れ上がり、路面は完全ドライになった。

■コース上でライバルを次々とパス

 サポートレースがふたつ行われたとはいえ、朝方の雨で路面のラバーは流されてしまった。レース序盤はグリップが低くなり、荒れた展開になることも考えられた。琢磨は新品のレッドでスタートに臨むことを決めた。

 青空の下、少々蒸し暑いコンディションでレースはスタート。ポールシッターのパワーがレースをリード。1周目にセバスチャン・ブルデー(KVSHレーシング)はチャーリー・キンボール(チップ・ガナッシ)にリヤホイール・ガードを破壊され、1周遅れに陥った。7周目には優勝候補の一角、予選2位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がエンジントラブルでリタイアした。

 琢磨はスタートで安全にポジションをキープ。ブルデーがピットしたことで14番手、4周目にファン・パブロ・モントーヤ(チーム・ペンスキー)をパスして13番手、ディクソンがマシンを停めたことで12番手。6周目にマックス・チルトン(チップ・ガナッシ)をパスして11番手、11周目にアレクサンダー・ロッシとカルロス・ムニョスのアンドレッティ・オートスポート勢をパスして9番手とコース上で次々ライバルをパスしてポジションを上げていった。

 ピットストップは12周目。ここでも琢磨陣営はレッドタイヤをチョイス。ピットストップを終えてダッシュすると、ピット出口までにキンボールの前に出ることに成功した。全員がピットストップ1回目を終えた時点でポジションは8番手に上がっていた。

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