しかし、決勝日の朝に再び状況が変わった。30分という短い走行時間だったが、施し直したセッティングが非常に良く、ブラックタイヤ、レッドタイヤともに安定したハイペースで走れるマシンとなっていた。

「良いはずのセッティングが昨日うまくいかなかったので、“切り捨て御免”とばかりに逆のセッティングにしたら、一気に良くなりました」と琢磨に笑顔が戻っていた。問題はスターティンググリッドがあまりにも後方であること。トロントはメインストレートの先のターン1、その先のロングストレート・エンドのターン3、そこから続くターン5、更にはターン8とオーバーテイクポイントが多いが、上位進出に展開や作戦をうまく利用する必要があることは明らかだった。

■歯車がうまくかみ合いベストリザルトを獲得

 そして、琢磨はレース中にもっとも多くの順位を上げたドライバーに贈られる“ハード・チャージャー・アウォード”を受賞する5位フィニッシュを果たした。

インディカー第12戦トロント/佐藤琢磨
インディカー第12戦トロント/佐藤琢磨

 序盤にはなかなかポジションアップが叶わなかったが、2回目のピットストップをギャンブル的タイミングの47周目に、フルコースコーションを利用して行った。残りのレースがグリーンのままであれば、ゴール目前に燃料のスプラッシュが必要となるが、終盤に長いコーションが出る可能性もあるのがストリートコースのため、勝負に出たのだ。

 すると、58周目にジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)がターン5で単独クラッシュ。フルコーションが出された。イエローが続く60周目にトップグループがピットイン。コースにステイアウトした琢磨は63周目のリスタートを4番手で迎えました。

 ここからの琢磨は、予選2位だったエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)とバトルしてパスを許したものの、予選6位だったジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)を追いかけ、予選12位だったトニー・カナーン(チップ・ガナッシ)とバトルし、さらには、後方に迫って来た予選10位のミカイル・アレシン(シュミット・ピーターソン)の攻撃を退け続け、5位でチェッカーフラッグを受けた。

 デビューから数年、琢磨はトロントのトリッキーな路面に悩まされていたが、一昨年からは自信を持って走れるようになっており、今年の新レイアウトも気に入ったようだ。その結果、トロントでの過去最高位に並ぶ成績=5位を獲得。これは今シーズンの自己ベストリザルト=ロングビーチに並ぶものだ。

「好調で始まったものが苦しい週末に代わり、予選は厳しい結果になっていました。しかし、レースでの僕らは強敵と戦い、最終的に素晴らしい成績を手にすることができまし。ラリー・フォイトとエンジニアたちは正しい作戦をチョイスしてくれました。マシンも非常に良かった」

「さらに、大事な局面でのピットストップが完璧でした。コース上で何台かをオーバーテイクできたし、燃費セーブをしながらもコンペティティブに戦えていた。チームが本当に頑張ってくれた.彼らを誇りに思います」と琢磨は喜び、「この勢いで次のミッド・オハイオも頑張りたい。来週テストに行けるので、それは必ずプラスに作用するはず」と語っていた。

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