キンボールはリスタート直後のバックストレッチ・エンドでコースから飛び出し、デイリーはゴール前6周というところで燃料切れからピットに向った。
■好走もゴール目前にアクシデントが
その次の周、4番手に浮上した琢磨に、すぐ後ろを走っていたセバスチャン・ブルデー(KVSH)が追突してきた。ブレーキをロックさせたのが原因だった。ふたりは揃ってコースアウト。ブルデーはそこでスタックしてリタイアしたが、琢磨は砂埃を捲き上げながらコースへと復帰した。
琢磨のポジションは9番手に落ちていた。しかも、ジョセフ・ニューガーデン(エド・カーペンター・レーシング)が真後ろに迫り、アタックしてきた。その攻撃を何とか封じ込め、琢磨は9位でチェッカーフラッグを受けた。
「あれは完全に僕のミス。パスできない相手にイライラが募り、ミスを冒してしまった。琢磨には悪いことをした」とブルデーは誤っていた。この接触さえなければ、琢磨は今シーズンのベストリザルトを記録できていた。それはまた、2戦続け20番グリッドからのスタートとなりながら、2戦連続でトップ5フィニッシュを果たすという見事な成績になるはずだった。
「今回もストラテジストのラリー・フォイトが完璧な戦略を選んでくれました。序盤のピットタイミングは楽観的に過ぎる早さだったかもしれないけれど、結果的によいタイミングでイエローが出て、順位を大幅に上げることができた」
「残念なのは、最後の最後に起きたアクシデント。20番手スタートで9位フィニッシュは悪くないけれど、4位は間違いなかっただけに、本当に悔しい。実績あるドライバーらしくないミスだったし……」とコメントし自身のレースを振り返る。
「僕らのマシンは、レースペースでは安定していたし、それなりのラップタイムを刻めるものになっていました。しかし、トップ5をずっと走っていたのは、あくまでも作戦の良さによるもので、まだトップグループで戦うためのスピードは得られていなかった」
「最後のスティントで燃費が厳しくなってカルロス・ムニョス(アンドレッティ・オートスポート)に差をつけられた点も、同じタイミングでピットしているんだから、そうなるのがそもそもおかしい。僕らの燃費計算が慎重過ぎるんだと思う」
「ゴール後に僕はピットまで問題なく帰って来れたけれど、ジェイムズ・ヒンチクリフ(シュミット・ピーターソン)とか何人かがコースでストップしてたでしょ? あそこまで燃費でも攻めたいですね。今日それができていたらブルデーに接近を許すこともなく、あんなアタックを仕掛けられずに済んでいたんだし……」
延期となったテキサス戦を含め、インディカー・シリーズは残り4戦。佐藤琢磨はどんな走りを見せてくれるだろうか。次戦ポコノは、8月21日に決勝レースが行われる。