この決断に至るまで、あらゆる紆余曲折とディテールでの検討が繰り返されたと語った前出のウィックマンCEOは、マスタング導入以前には『モンデオ』の採用も議題に挙がったことを明かしつつ、とくにV8エンジン継続の決断は2019年の競争力維持に大きく貢献するだろう、との見通しを語った。

「パワートレインについては長い議論があり、もちろん我々のV6“エコブースト”のバナーで戦うことも検討した。市販モデルの『マスタング』には直噴4気筒ターボの搭載例もあるからね」

「しかし、その先の未来……例えば電動化なども視野に入れた場合、まだリソースをエンジン開発に割くのではなく、新型車種投入の分野に注力するのが望ましいと判断したんだ」

 この言葉に対し、VASCでフォードの開発部門を任されるティックフォード・レーシング代表のティム・エドワーズと、DJRのマネジングディレクター、ライアン・ストーリーも賛同のコメントを述べている。

「ドライバーの視点から言えば、何もかもが一気に変わってしまうよりボディの変更だけに集中できる方が、よりイージーで望ましいだろう」とエドワーズ。

 同様にストーリーも「2019年はマスタングの空力パッケージの開発に焦点を当てて、そこに集中することが可能となる。我々にはフォードV8という性能と信頼性に優れた非常に優秀なパッケージがすでに手元にあるわけだからね」と続ける。

 これで2019年のグリッドにはGen2規定の2車種、5ドアハッチバックの『ホールデン・コモドアZB』と、2ドアクーペの『フォード・マスタング』が並ぶことが決まったが、残るもうひとつのマニュファクチャラー、ニッサンへの期待値も高まっている。

 現行のL33型『ニッサン・アルティマ』は、すでにオーストラリアでも2013年には販売が終了となっており、噂ではフォードと同様に2ドアの規定を活用して同社のフラッグシップスポーツカーであり、V6直噴ターボ搭載の『GT-R』を投入するのではとささやかれているが、先日のニューヨーク・ショーで公開された世界初の量産可変圧縮比エンジンとされるVCターボ搭載の新型『アルティマ』の可能性も残されているだけに、その決断と動向にも注目が集まっている。

実力派の若手、スコット・マクローリンを擁してタイトル争いを展開するDJRチーム・ペンスキー
『マスタング』投入決定までの紆余曲折を明かしたフォード・オーストラリアのCEOを務めるグレイム・ウィックマン(左)
昨季までプロドライブ・オーストラリアとして活動し、現在も『ファルコンFG-X』の開発を担い、シリーズに4台を投入するティックフォード・レーシング
VASC同様に、NASCARにも投入されることが決まった『マスタング』。ニッサン陣営の決断にも注目が集まる

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