レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る

海外レース他 ニュース

投稿日: 2018.04.24 10:30

得意のウエットで今季初TOP10入りの琢磨「新たな気持ちでインディ500を迎えたい」

レースを愛してやまないファンの方々へ
autosport web Premiumが登場。

詳細を見る


海外レース他 | 得意のウエットで今季初TOP10入りの琢磨「新たな気持ちでインディ500を迎えたい」

 迎えた日曜日。インディカーはTVオンエア枠や想定される事態に備えて、スタート時間を約30分切り上げた。そして最初のパレードラップを4周とし、シングルファイル(一列縦隊)でのスタートを決定した。

 ドライバーズパレードなども省略されて、運営側としては最大限の配慮の中でスタートが切られる。

予選18番手からレースに挑む佐藤琢磨

 捲き上る水しぶきの中でスタートが切られレースが始まり、琢磨は後方で真っ白な視界の中を模索しながらターン1に入っていった。

「まるで2007年の富士の時のよう」と例えていたが、容赦なく前のマシンにアタックを続けた。5周で13番手まで上がり、最初のイエローが出る12周目には12番手。そのイエローが解除された16周目には9番手まで上がっていた。

ロバート・ウィケンスと競り合う佐藤琢磨

得意のウエットコンディションでポジションをアップしていく

 だが雨量が多くリスタートでウィル・パワーはストレートでクラッシュするほど。19周の時点で赤旗が提示され全車がピットに入ることになった。この時点で琢磨は8番手だ。

 赤旗の後、路面の水を処理しつつ少しの間を置いて再度ペースカーの後コースインしていくが、状況は好転せずに23周の時点でレースは再度赤旗となった。

「この雨ではどうしようもないですね。今日はインディカーの判断を尊重するしかない」と琢磨も言う。

 天候は悪くなるばかりで、レースは翌月曜日に残りの周回を行うことになった。

 月曜日も雨予報はあったが、好転し晴れの中でレーススタートだった。23周終了時点での隊列のままでスタートとなり、タイヤについては2種類のタイヤを履く義務はなく、また燃料の積載量も自由となった。前日のスタート前に2時間レースへと変更されていたため、レースは残り周回数の67周ではなく75分のレースとなった。

 琢磨は予選ではレッドタイヤを使っていないので、3セットのレッドを使うことができる。考えようによってはかなり有利だが、琢磨の考え方は違っていた。

「変則的なルールになったけど、残りの距離を考えると2ストップが常套手段だけど、1ストップになることも考えていた……」

 グリーンランプが点いてレースが始まると琢磨は8番手のポジションをキープし周回する。前のマシンを追うペースがやや鈍いようにも見える。

「新品のレッドタイヤがラバーの流された路面にうまく合っていなくて、磨耗も早かった」とレース後に語った琢磨。後方からはスコット・ディクソンやシモン・パジェノーも追ってくる。

 各マシンによって戦略は別れた。2ストップで早めにピットに入るマシン、序盤はなるべくコースにステイするマシン、前のマシンに使えるとピットに入る戦略を取ったマシン。

粘りの走行でポジションをキープする佐藤琢磨

 琢磨は最初のスティントを引っ張り30周を消化してからピットイン。レッドからブラックに変えてコースに戻る。琢磨は残りの時間を考えワンストップで行けるように慎重にドライブを続けた。

 後方からチームメイトのグラハム・レイホールにも先行させた。この後イエローが出たなら琢磨は労せずしてトップグループに出る計算だったし、そうでなくても2ストップのマシンは前から姿を決していく。

 そんな読みを嘲笑うかのように、またしてもバーバーの空に雨が落ちてきた。残り時間は20分あまり。

 雨の量は多く、スリックでステイアウトする選択はなかった。ピットに入るタイミングが命運をわける。琢磨は比較的早めにレインに変えたのが功を奏して13番手でコースに戻ってから、他のマシンがタイヤを変え終わる頃には8番手に戻っていた。

 雨が降り続ける中で琢磨はチェッカーを受け、8位になった。今季初のトップ10フィニッシュだ。

 波乱の予選、悪天候の中断、ステラトジーの変更と次から次へと流れが変わったが、その中で琢磨はもがきながらも8位をもぎ取った。

「予選ではトップ10に入れるかどうかのスピードだったし、Q1の赤旗があったにしろ、雨の中では順位を上げることができた。今日も1ストップならという思いもあるけれど、8位でフィニッシュできて良しとしたいですね」

「この後は日本に帰ってまたインディのスーパースピードウェイでテスト。そして5月になります。インディのGPでレースもあるし、インディ500は今年チャンピオンとして迎える特別な年になります。また新たな気持ちでインディ500を迎えたいですね」


関連のニュース