角田は金曜日の練習走行1回目で3番手、同2回目で5番手と初めての公道レースながら適応力の高さを見せた。もっとも、土曜日の予選1回目は随所で速さを見せるものの5番手。「スピードはあったので変な欲が出て、2番手に大差をつけてポールポジションを取りたいという気持ちになった。オーバーペースになってしまい、一周をまとめきれずタイムが伸びなかった」と角田はふり返る。
迎えた決勝レース1ではスタートで順位を落とし6番手へ。さらに4周目には第4コーナーで行き場を失い、タイヤにダメージを負ってしまう。
すかさずピットインして左側の前後輪を交換、12番手からの追い上げを図った。しかし、10番手まで挽回したところで第6コーナーのガードレールに軽く接触、フロントのアッパーアームにダメージを負ってリタイアを決断した。
角田は「スタートはホイールスピンが多くて2コくらい順位を落とした。前のクルマとテール・トゥ・ノーズの状態で第4コーナーへ入ったらダウンフォースが抜けて、タイヤがロック気味になりアウト側の縁石に乗ってコントロールを失った。ピットストップのあともけっこういいペースで走れた。結局はオーバーペースでガードレールに接触。このまま走ってもペースは上がらないだろうし、危ないと思ったのでリタイアした」と語った。
予選2回目は2番手グリッドを確保した角田。決勝レース2でも雨の降る難しいコンディションのなか、先頭を行くチームメイトのハンゼスを追い掛け回した。後ろから迫るチームメイトのローソンには抜かれるも、15周目にハンゼスとローソンが同士討ちでリタイア。この事故によるセーフティカー導入の機会にレインへタイヤを交換して4番手へ後退した角田だが、19周目に1台を抜いて表彰台を手にした
「読めない天気のなかで3位はベストだったと思う。2番手を走行中にリアムに抜かれたけれど、あそこでは自分もブレーキをロックさせるミスもあったし、無理に抑えたらユリアンとリアムのようにクラッシュしていたかもしれない。リスクを取らなかったのはいい判断だった。ポテンシャルはめちゃくちゃあった。予選ではミスもありそれを発揮できなかったけれど、最後は自信がついたのでホッケンハイムで活かしたい」と次を見据えていた。

■名取鉄平はポーに好感触もチームの判断ミスで後退。「もう1周あとにしてくれれば……」
角田と同じく公道レースは初めてという名取は、練習走行1回目で6番手、同2回目は8番手ながらセッション序盤から、つねにタイミングモニター上位に自分の名前を載せていた。「初めての市街地コース、しかも雨だったけれど、自分にとっては得意なコースという感触を手にできた」と名取は笑顔を見せた。
しかし、予選1回目は5周目という早い段階で第7コーナーに設置されたタイヤバリアの餌食になり、14番手という不本意な結果に終わった。「まだ攻めていない段階で、第6コーナーの縁石で跳ね飛ばされてタイヤバリアへ突っ込んでしまった。過去のオンボード映像を見ていて、縁石に大きく乗るドライバーが多かったので試してみたけれど……」と予想以上に大きな反応を見せたクルマを制御しきれなかったようだ。
しかも、決勝レース1を迎えるにあたって見た目こそ修復なっていたクルマは、コースイン直前という段階になってクラッチトラブルが発覚。「クルマがスムーズに発進できず、残念ながらスターティンググリッドにさえつけなかった。日曜日に向けて少しでも走っておきたかった」と名取は肩を落とした。
予選2回目はうっぷんを晴らすかのような走りで6番グリッドを獲得。迎えた決勝レース2のダミーグリッドでは、名取とエンジニアのちょっとしたやり取りが目に入った。
「僕は人生を賭けているし、自分の判断で失敗しても悔いはない。雨は止みそうになかったから、ダミーグリッドについた時点でタイヤをスリックからレインへ換えてくれと伝えた。でも、エンジニアは聞き入れてくれなかった」と名取はのちに状況を説明した。
決勝レース2では早めのピットストップが指示されるも、チームメイトが先にいて名取のレインへのタイヤ交換は大きなタイムロスを伴うものとなってしまった。「だったら、もう1周あとにしてくれれば……」という名取の言葉には落胆の色が濃かった。
結局、こうしたチームの判断ミスで13番手まで後退した名取だったが、ウェット・コンディションでのペースは快調で最後は7位でチェッカーフラッグを受けた。
EFO第3大会はドイツ・ホッケンハイムリンクで5月24~26日に実施される。
