その場でシャイダーに対し『宣告』が行われ、会話はほんの5〜6分で済まされたという。さらに話の内容は「土曜日の記者会見まで誰にも話してはいけない」と通告された。シャイダーは「電話を切った後の動揺した表情を、何も知らないフェニックスのクルーに悟られてはいけないと、必死で自分自身を押し殺し、何事もなかったようにミーティングに戻らなければならなかったことは辛かった」と語った。

“引退勧告”については、フェニックスの代表や幹部らにもその時点で、アウディスポーツからは前もって知らされてはいなかったという。

■「最後まで起死回生のチャンスを与えたつもり」とガス

 一方、シャイダーに対して“勧告”を行った立場のガスは、「今シーズンを含めて、数年前からシャイダーのポテンシャルをアウディスポーツで観察していたのだが、このまま改善の余地がないと判断して、DTMおよびアウディスポーツとの契約を終了することに決めた」とSport1局のインタビューに応えた。

 ファンも多かったシャイダーに対し、「なぜもう少し早くに通達しなかったのか」という質問に対してガスは「彼のためを思って、最後まで起死回生のチャンスを与えたつもりだった。早くに知らせて彼のファンをがっかりさせたくなかった」と弁明。ただ、実質的にシャイダーやファンを深く苦しめたかたちとなったことは間違いないだろう。

ホッケンハイムでファンの声援に応えるティモ・シャイダー
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