シャイダー自身は「もう少し早く、直接会って言ってくれていたのならば、DTMを去るにあたっての気持ちの整理も覚悟ももっと違っていたし、アウディスポーツのやり方には、ティモ・シャイダーというひとりの人間性を否定された気がした」と“魔の電話”を冷静に振り返った。
そんなシャイダーだが、最終戦ホッケンハイムの終了後、メインスタンドの前で何度もドーナツターンを披露した後に、マシンから降りファンへの感謝の気持ちを表し、自身が装着していたグローブやシューズをスタンドへ投げた。実はこのアクションは、アウディ関係者には内緒で、独自に行った“お別れセレモニー”だったという。
■アウディとの契約は一転続行。参戦カテゴリーは模索へ
ただ、アウディスポーツとシャイダーとの関係はかろうじて“修復”はされた様子。日曜日のレース後、シャイダーは観戦に訪れていたアウディAGの重役陣と直接話し合う機会に恵まれ、DTMには参戦できないものの、アウディからの解雇は撤回され、一転してアウディに残留することになったという。来季はどのシリーズにスイッチするのかは、今後話し合いが進められる。
DTM最終戦のレースウィークの土曜日の夜に行われた異例の引退緊急会見では、最終戦のわずか2日前というタイミングでの解雇通知を、しかも電話一本で言い渡されたことについて物議を醸しており、そのアウディのやり方について、ドイツ国内では批判的に報道するメディアが多く見受けられていた。
