──イタリア2連戦では、角田選手は結果を出せずじまいでした。山本さんは、どのようにご覧になっていましたか。
山本雅史マネージングディレクター(以下、山本MD):モンツァは単純なエンジントラブルでしたし、ムジェロはSCでレースをふいにされたし、イタリア2戦を総括すれば不運ということでしょうね。速さはピカイチだし、レースでの強さも悪くない。下位からでも、しっかり順位をあげますしね。そこは私といつもレースを見ているヘルムート・マルコ博士も、高く評価するところです。
ただ経験不足から来るワンミスが、結果に響く。今回の接触がまさにそうだし、前のクルマもやや挙動を乱していた。それで当たってしまった部分はありますね。そこも含めて、不運かなと。ただ電話の声を聞いても、メンタル的にちょっとキツそうですね。レース1が終わったあたりから、そんな感じは受けていました。ですのでレース2ではなんとか切り替えて、ポイントを獲ることができればと思っていたのですが……。この2戦は幸運の女神が、角田くんに微笑まなかったですね。
──速さは、十分にある。あとは気持ちですか?
山本MD:これはイギリスに帰ってから本人ともじっくり話そうと思うのですが、F2に乗っている人たちは、次はF1しかない。なのでF1に乗りたい気持ちが誰よりも強い。その気持ちも、一番じゃないとダメだと思います。たとえばニキータ・マゼピン(ハイテックGP)なんかは、ガキ大将みたいでレースマナーも決して良くないですが、前に行く気持ちの強さは人一倍ですよね。
角田くんもそれはもちろん持っているのですが、“お前ら、退いてくれ”というほどではない。そこがルーキーの弱さなのか、レース経験豊富な選手との違いなのか。もちろん1年生としては、本当によく頑張ってます。着実に結果を出しているし、毎戦経験を積んでいる。内容的にも常にアグレッシブで、上位に上がっていくパフォーマンスを見せてくれている。そこは本当に嬉しく思っています。
