チャンピオン争いを行っているドライバーたちにとって、休みなしの3連戦の最初のレース、ポートランドで勝つことの持つ意味は大きい。一気に流れを引き寄せることができるからだ。
逆に、ポートランドでの惨敗は、タイトル争いからの脱落に繋がる。ポイントを取りこぼさないこと重視で、タイトル候補たちが3連戦で一度も勝たないケースも起こり得る。
そうした状況で優勝しそうなのは、今シーズン1勝を挙げているコルトン・ハータ(アンドレッティ・オートスポート)とウィル・パワー(チーム・ペンスキー)、リナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター・レーシング)の3人。そして、ロマン・グロージャン(デイル・コイン・レーシング・ウィズRWR)やジャック・ハーベイ(メイヤー・シャンク・レーシング)、スコット・マクラフラン(チーム・ペンスキー)のキャリア初勝利が見られるかもしれない。
佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、残り3戦のうちのポートランドとロングビーチで優勝経験があるし、アレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)は、キャンセルになった昨シーズンの前2年連続でロングビーチを制している。彼が地元カリフォルニアで復活優勝を遂げる可能性も十分に考えられる。
ニューガーデンはシーズンが後半戦に入ってから2勝を挙げており、勢いはある。開幕から苦戦を続けたチームも、ここへ来て状態が良くなってきている。彼が3度目のタイトル獲得を果たす可能性は、若く、チャンピオンになった経験を持たないふたりより高いのではないか。
ディクソンの7度目のタイトルが実現する可能性も十分にある。突出した存在がいない状況下、彼のしぶとさ、経験の豊富さは非常に大きな武器になる。現状では、今年のチャンピオンの座を争っている4人の中でランキングが最後尾だが、3戦すべてで上位フィニッシュをする能力を考えると、ディクソンがそれは最も高い。
ということで、今年のチャンピオン争いは、残り3戦でランキング3、4番手というポジションにはいるが、タイトル獲得歴を持つニューガーデンとディクソンがイニシアティブを持っていると見る。
ランキング1、2番手で初タイトル獲得にチャレンジしているオーワードとパロウが、プレッシャーを跳ね除けて王座に就く可能性はもちろんある。そして、それが実現したら、来年以降、若い力の台頭は更に勢いづくだろう。
彼らとほぼ同等の力を備えたドライバーが、すでにインディカーシリーズには数多く存在し、さらに若い世代も、アメリカだけでなく、ヨーロッパのF1予備軍からもこれまで以上に流入してくる勢いとなっているからだ。