ここでブッシュと同じ戦略を採用していたタイ・ギブス(ジョー・ギブス・レーシング/トヨタ・カムリ)が、無念のガス欠で隊列を離れてリスタートを迎えると、残り2周で首位に躍り出たブッシュの背後から、ウォレスがアウトサイドに出てホワイトフラッグに突入する。
しかし背後のブレイニーから“ビッグプッシュ”を受けた23号車のカムリは堪え切れず、姿勢を乱してオースティン・シンドリック(チーム・ペンスキー/フォード・マスタング)やA.J.アルメンディンガー(カウリグ・レーシング/シボレー・カマロ)ら6台を巻き添えにした“ビッグワン”を引き起こす結末に。
「勝利に向けた位置取りにいるなら、そこで獲りに行くだけだ。みんな無事でよかったけれど、僕の考えではあのようなトリプルムーブ、トリプルブロックは(ルール上)できないはずだ」と、再三に渡ってラインを変更したウォレスの動きを非難した2位ブレイニー。
「もちろん、リーダーであるバッバがブロックしようとするのは正しい。でも彼は3回以上ラインを変更したと思う。僕はどこかへクルマを逃さなくてはならないし、勝利から遠ざかるのもイヤだ。それにクルマがボロボロになるのはもっとイヤだからね」と、惜しくも55戦未勝利記録を止める千載一遇のチャンスを逃したブレイニー。
これでアンダーイエローとなり、スローダウン走行でフィニッシュラインを通過したブッシュは、この時点で「本来のチェッカーまでカマロに燃料は残っていなかった」と明かし、レース後のお祝いで恒例の“バーンナウト”さえなき状況で今季2勝目、キャリア通算62勝目を手にした。
「ときどき、こうした幸運も味方につけなきゃならないんだ」と、わずか3周のリードで移籍先のRCRにタラデガ通算13勝目をプレゼントしたブッシュ。
「彼ら(ブレイニーとウォレス)がレーストラックを上ったとき、そこで海が分かれた。彼らはプッシュドラフトを試みていたが、この種(Next-Gen)のクルマはそれを行うのに充分なほどの安定性がないんだ。23号車が少し横を向いているのを見て『邪魔すんなよ?』と祈ったね(笑)」
併催されたNASCARエクスフィニティ・シリーズ第9戦『Agプロ300』は、カップ同様の“ダブル・オーバータイム・リスタート”を制したジェブ・バートン(ジョーダン・アンダーソン・レーシング/シボレー・カマロ)が、チームにシリーズ初優勝をもたらしている。


