FIAは、チームオーダー問題についてフェラーリにすでに与えられた罰金以外の処罰を科さないと発表した翌日、この裁定について詳細にわたって説明する文書を公開した。これによると、FIAはフェラーリの行為はチームオーダーであるとの見解を持っているものの、チームオーダーを禁止する規則の適用に一貫性がなく、取り締まることも困難であるとの結論に至ったことがわかった。
ドイツGPでフェラーリはチームオーダーを出したとみなされ、スチュワードから10万ドルの罰金を科された。8日、FIA世界モータースポーツ評議会の公聴会でこの件について審議されたが、その結果、FIAはそれ以上の処罰を科さないことを決めた。
9日に発表された文書によると、WMSCの審判グループは、広範囲に及ぶ詳細な証拠を調べた結果、チームオーダーが出されていたと判断し、これはスポーティングレギュレーション第39.1条に違反していると示唆している。また、このチームオーダーはレース結果に影響したものとして、国際スポーツ法典151(c)条への違反も指摘された。
しかし近年のF1ではチームオーダーと解釈される行動は数多く見られ、規則の適用には一貫性がなく、間接的なチームオーダーでドライバーたちも不満を述べていない場合は判断が難しく、こういった状況がフェラーリの行動に影響を与えたとの判断もなされた。また、審判グループは、フェラーリがチームメイト同士が接触する事態を避けたいと考えるのはもっともなことだと認めている。
さらに、審判グループは、フランク・ウイリアムズとペーター・ザウバーからフェラーリを支持する書簡が寄せられ、チームオーダーを明確に支持する意見があることを認識したとも記されている。
そのため審判グループは、スポーティングレギュレーション第39.1条の再考をF1スポーティンググループに委ねることが最も適切な行動であると考えたということだ。
結果として、チームオーダー禁止に関して不確かで複雑な状況があり、これを見抜き、取り締まるのは難しいという認識の下、審判グループは、ドイツGPのスチュワードが科した最大額の罰金、10万ドルの処罰を維持することに決めたと、文書には記されている。