2009年F1第3戦中国GPの決勝が終了し、表彰台に上った3人のドライバー、セバスチャン・ベッテル、マーク・ウエーバー、ジェンソン・バトンをはじめ、各ドライバーたちが、それぞれのレースについて語った。

2009年F1第3戦中国GP日曜日ドライバーズコメント

1 ルイス・ハミルトン(マクラーレン) 決勝6位
今日はあまりにミスをしすぎた。すごく滑りやすかった上に、フィニッシュまでまだかなり周回数が残っている段階で左フロントタイヤが終わってしまったんだ。それでもベストを尽くしたよ。今日の午後は本当に大変だったけれど、チームのためにポイントが取れて嬉しい。

2 ヘイキ・コバライネン(マクラーレン) 決勝5位
視界が極めて悪かった。特にセーフティカーが引っ込んだ後の最初の数周がひどかったね。でも、僕らのペースはよかったし、レース終盤にはルーベンスに接近することができた。ただ、仕掛けられるほどではなかったね。戦略は本当にうまくいった。今日は5位より上の結果を出すのは無理だったと思うから、4ポイントを確実に取れたことにとても満足している。何度かかなり危ない瞬間もあったのに一度もミスをしなかったよ。

3 フェリペ・マッサ(フェラーリ) 決勝リタイア
当然のことながらとてもがっかりしているし、多少動揺もしている。でも、モチベーションは一切下がっていない。僕ら全員この状況から抜け出すために努力しなければならない。チームは団結しており、できるだけ早く状況を変えようという強い意志を持っている。すぐにでも空力の大幅な改善を成し遂げる必要があるし、同時に早急に信頼性の問題を解決する必要もある。勝つためには、何よりもまず完走しなければならないからね。今日僕は表彰台に立てる可能性が十分あったんだ。3位を走り、1ストップでいけるだけの燃料を積んでいながら、トップグループと同じぐらいのタイムで周回していた。セーフティカー先導時を除けば、マシンは好調だった。セーフティカーの後ろを走っている時には、パワーが低下するような瞬間が何度かあった。その後、何の前触れもなくアクセルがきかなくなり、マシンが止まってしまった。ファンの皆に、僕らのことを諦めてしまわないでと言いたい。今は苦しい時期だけれど、選手権はまだ始まったばかりだから。

4 キミ・ライコネン(フェラーリ) 決勝10位
序盤はそれほど悪くなかったんだが、ピットストップの後、タイヤのグリップがなくなって、マシンがスライドしまくり、思ったようにプッシュすることができなくなった。何度かエンジンのパワーが低下したような感じになり、特に他車の後ろについて走っている時にその症状が出た。でも、その後そのトラブルは自然と消えた。明らかに選手権争いは極めて苦しい状況に思える。僕らはミスを犯した上に十分な速さもない。バルセロナでは新しいエアロパーツを導入するので、今よりもグリップがいくらか向上するはずだ。また勝てるところまで競争力を取り戻せると確信しているが、その作業には時間がかかるだろう。チームの士気が高いのは確かだし、僕らはベストを尽くしていく。今批判するのは簡単なことだけれど、僕らは挽回する術を知っている。

5 ロバート・クビカ(BMWザウバー) 決勝13位
今日は走るのがとても危険なコンディションだった。いたるところでアクアプレーニングが発生するし、視界もなくて悲惨だった。何も見えなかったので、いろいろなことが起こった。その影響で、ヤルノ・トゥルーリとの間で激しいアクシデントが起きた。ヤルノがコーナーに向けてブレーキングした時、僕が水溜りに乗ってしまい、急ブレーキをかけたのだけれど、マシンは加速し続けた。彼のリヤタイヤにヒットして、僕のマシンは高く舞い上がった。誰もけがをしないで済んでラッキーだった。ピットに戻って2回目のフロントウイング交換をした。バイブレーションを感じ、グリップが大幅に低下したんだ。これで僕のレースは台なしになった。

6 ニック・ハイドフェルド(BMWザウバー) 決勝12位
当然、今日のレースの結果にはがっかりしている。でも同時に、とにかく完走することができたことに感謝すべきだとも思っている。視界が悪く、アクアプレーニングがひどくて、悲惨なコンディションだった。序盤、セーフティカーが引っ込んだ後、タイヤの空気圧が大幅に低下して、かなり苦労した。13周目、ティモ・グロックにヒットされてマシンがダメージを負い、さらに苦しい状況になった。レース終盤には、1ポイントか2ポイント取れるチャンスがあったのだけれど、エイドリアン・スーティルが事故を起こして、コース上にホイールなど大量のデブリが散乱していた。何とか避けようとしたけれど、どこを通ればいいのか予想がつかずにぶつかってしまった。その後、マシンのフィーリングがとてもおかしくなってしまって、4つポジションを落とした。

7 フェルナンド・アロンソ(ルノー) 決勝9位
今週末は大きなポテンシャルを示していただけに、この結果にはがっかりしている。チームはマシンの改善のために素晴らしい仕事をしてくれて、おかげでマシンはとてもコンペティティブになった。特に昨日の予選ではフロントローが取れた。でも今日は僕らは運がなかった。決断のタイミングが悪くてすべての歯車が狂ってしまうような日も時にはある。今日はそんな一日だった。セーフティカーがあと10~15周は走り続けるだろうと思って給油に入ったら、同時にセーフティカーが引っ込んでしまい、レースを最後尾からスタートしなければならなくなった。グリッド一列目だったのに、突然最後尾に落ちてしまったんだ。あの時僕らのレースは終わった。バーレーンも大きな試練になるだろうし、その後にはバルセロナが控えているから、僕らは前進し続けなければならない。

8 ネルソン・ピケ(ルノー) 決勝16位
今日は視界がとても悪く、アクアプレーニングも起きて、本当に難しいコンディションだった。コースアウトしないように走り続けるだけのことさえ簡単ではなかった。レース中に何回かひやっとする場面があったけれど、なんとか走り続けることができた。でも、大幅にタイムをロスして後方にポジションを落とした。不本意な週末だったけれど、バーレーンでは、ドライコンディションでレースができ、マシンに新たな開発が加えられることに期待している。

9 ヤルノ・トゥルーリ(トヨタ) 決勝リタイア
今日はうまくいかなかった。とても難しいコンディションで、あちこちに水溜りができており、アクアプレーニングもひどかった。セーフティカーが引っ込んだ後、いいスタートを決められたし、序盤のペースもよかった。でもその後、グリップが低下し始め、ペースが上がらなくなり、その状況が続けば続くほど順位を落としていった。17周目、リヤに大きな衝撃を感じ、リヤウイングを失った。ピットに戻ったけれど、レースを続行することはできなかった。それでも、昨日のペースを見れば僕らがトップ勢に近いところにいることは明らかなので、来週末のバーレーンではもっと運が向いてくれることを願うよ。

10 ティモ・グロック(トヨタ) 決勝7位
最終的にはピットレーンスタートからポイントを取ることができたので、この結果に満足しなければね。でも、本当に厳しいレースで、特に序盤は大変だった。レースをスタートした時には、本当に驚いたよ。最後尾で走っていると、何も見えなくて、視界ゼロで走っているようなものだった。いくつかポジションを上げたが、ニックと接触してフロントウイングを壊してしまった。視界が悪くてブレーキングポイントを誤って、彼に追突してしまったんだ。ダメージを修復するために、ピットストップを数周早めなければならなかった。その後、前がクリーンな状態で5、6周走った時にはとても速く走れたが、キミに追いついて、彼に引っかかってしまった。水溜りが見えなかったので、特にオーバーテイクポイントでペースを落とさざるをえなかったんだ。結局は彼を抜いて7位の結果を持ち帰ることができた。

11 セバスチャン・ブルデー(トロロッソ) 決勝11位
2回スピンしたけれど、15位スタートから11位でフィニッシュした。アクアプレーニングがかなりひどかったので、レースはすべきではなかったと思う。今年のマシンはダウンフォースが大幅に減らされて、マシンを路面に押し付ける力が弱いので、状況がより一層悪くなるんだ。僕も15回や20回スピンしてもおかしくはなかったし、スーティルのクラッシュを見ればどんなことが起こりえたのかは明白だ。ファンにとってはいいショーだったのではないかと思うので、その点だけはよかったね。

12 セバスチャン・ブエミ(トロロッソ) 決勝8位
チームが本当に素晴らしい仕事をしてくれたおかげで、ここでもまたポイントを取ることができた。すごくハッピーだよ。3戦走って2回入賞したんだ。嬉しいよね。たぶんもうちょっとうまくやれてもよかったはずだけど、それでも満足はしている。序盤はとてもコンペティティブで、ライコネンやハミルトンを抜くことができた。でもその後は少し苦戦した。僕がこれまで走った中で一番きつかったレースのひとつだと思う。ベッテルとの事故は、セーフティカー先導時に起きた。僕は彼を見ていなくて、右に避けようとしたけど、避けきれなかったんだ。それで僕はウイングを換えなければならなくなった。でも、彼のレースを台なしにしないで済んでよかった。

14 マーク・ウエーバー(レッドブル・レーシング) 決勝2位
チームにとって信じられないほど素晴らしい一日だ。皆が昨夜どれだけの作業をしたか、想像もつかないはずだよ。マシンが完走できないんじゃないかと、皆本当にびくびくしていた。昨日は走るたびに止まってしまったからね。だからこそ、2台ともフィニッシュし、最大限のポイントを獲得できたなんて信じられない。オーストラリアではセバスチャンが、マレーシアでは僕がもう少しのところまでいったが、ようやく実現した。ミルトン・キーンズのチームにとって素晴らしい日だ。皆本当によくやったね、チームにも、オーストリアの皆にも感謝している。レース中、何度も難しい場面があった。序盤は水煙で他のマシンの後ろをついていくのが大変だった。でもしばらくたつと、状況が落ち着いてきた。2回目のセーフティカーの後、ジェンソンといいバトルをしたよ。公式なリードラップでは、目の前があまりにクリアなのでびっくりした。“ああ、これは最高だ!”って思ったよ。それからギャップを縮めるために必死でプッシュした。本当に素晴らしかったね。ジェンソンに抜き返されたけれど、本当に勝ちたくて必死だったから、ターン7で彼をオーバーテイクした。僕がそこにいるのを彼は分からなかったと思う。あれは僕のキャリアの中でも最高のアクションのひとつだったよ。今日は本当にハッピーだ!

15 セバスチャン・ベッテル(レッドブル・レーシング) 決勝1位
信じられないよ。ものすごくハッピーだ。最後の10周は後ろのマシンとのギャップをコントロールするためにペースを調節して走った。すべてをコントロールしようと努力したけれど、難しかったよ。ある時点でフィニッシュを目指して走ったけれど、そうすると集中力が低下してしまったので、1コーナー1コーナー、クリアするよう心がけ、あまり先のことは考えないようにした。残り2周のところで少しスピードを落とした。コース脇の水溜りでアクアプレーニングに見舞われるリスクを避けたかったからね。そしてようやく……うん、本当に最高だったよ。これは僕にとって2勝目だ。1回はトロロッソで、2回目はレッドブルで勝つことができた。こんなに嬉しいことはない。僕らはこの調子で頑張っていけるといいね! ものすごく誇らしいし、幸せだよ。勝ててすごく嬉しい。レッドブルの全員がとてつもなく素晴らしい仕事をしてくれたおかげだ。彼ら全員に心の底からありがとうと言いたい。皆本当に頑張ってくれた。チームとレッドブルに感謝している。オーストリアに向けてお祝いの言葉を贈るよ!

16 ニコ・ロズベルグ(ウイリアムズ) 決勝15位
今日一番大変だったのは、バイザーに水滴がついたまま流れてくれなかったこと。ほとんど前が見えなかった。バイザーの曇り防止システムのトラブルで、以前にもあったけれど解決されていなかった。最後の15周、いいポジションを走っていなかったので、何かやってみなければならないと思って、インターミディエイトに換えるよう頼んだ。最初の数周はよかったから、いい選択だったのかと思って喜んでいたんだ。そしたらついてないことに雨がひどくなってきて、またもや万事休すとなった。1週間後はバーレーンだ。そろそろいい結果が出せるはずだよ。チーム全員、こんなに頑張っているんだからね。

17 中嶋一貴(ウイリアムズ) 決勝リタイア
今日はトランスミッションのトラブルが発生して、残念ながらレースを続けられなかった。コース上はほとんど視界がなく、とても難しいコンディションだった。水溜りがたくさんあって、コースアウトしないように走り続けるのが大変だった。特に最終コーナーの出口がひどかったよ。何回かミスをしたけれど、皆そうだったよね。

20 エイドリアン・スーティル(フォース・インディア) 決勝17位
厳しいレースを覚悟していたけれど、そのとおりのレースになった。リスクを冒してかなり早くピットストップをして、1セットのタイヤで長く走るという戦略を立てた。そしたらまた雨が降り出して、コースを外れずに走り続けるのがとても難しい状態になった。時にはストレートで4速か5速で走っている時でも、アクアプレーニングで苦労した。あんなに長く走り続けられたのはすごくラッキーだったよ。でも残念ながら、集中して自分ならやれると思っていても、最後にはマシンがコントロールを失ってしまった。モナコと同じ気持ちだったよ。すごくいいポジションを走っていたのに、突然それを失うなんて、信じがたい気持ちだ。でも乗り越えなければね。今日僕らは素晴らしいパフォーマンスを発揮した。それはチームにとって素晴らしいことだし、僕らはポイントに値するパフォーマンスを見せていたと思う。皆に申し訳ない気分だよ。戦略は本当に素晴らしかったけれど、僕らはリスクを冒さなければならなかった。

21 ジャンカルロ・フィジケラ(フォース・インディア) 決勝14位
難しいレースだった。序盤は雨がとても激しかった。でも僕にとって一番の問題は、タイヤのグレイニングだった。2セットとも磨耗がひどく、コーナーで4輪すべてがスライドしてしまった。マシンをコース上で走らせ続けるのが本当に大変な状況で、何度もひやっとするような瞬間があった。でも戦略はよかったし、僕らは今日のパフォーマンスに満足していいと思う。エイドリアンがチームの初ポイントを惜しくも逃してしまったのは残念だったけれど、今日はどれだけコンディションが難しかったか、皆分かっている。

22 ジェンソン・バトン(ブラウンGP) 決勝3位
今日のレースはとても難しかったから、2台とも56周を走りきり、僕らに可能な最大のポイントを取れたことに、とても満足している。コース上いたるところに川が流れていて、そこを通りかかるたびにコンディションが違うという、信じられないような状況だった。特に最終コーナーは湖のようになっていて、コーナーに向けてブレーキングできないんだ。アクアプレーニングが起きたり、タイヤのバイブレーションがひどくて大変だった。タイヤに十分な熱を入れることができず、うまく機能させられなかった。何周かマーク・ウエーバーとはいいバトルをしたけれど、彼についていくことができなかった。でも今日は完走するだけで立派に仕事を成し遂げたといえるから、表彰台に上るなんて最高の結果だよ。僕らはレッドブルにはかなわなかった。素晴らしい結果を出したセバスチャンとマークにおめでとうを言うよ。

23 ルーベンス・バリチェロ(ブラウンGP) 決勝4位
今日はとても難しいコンディションで、タフなレースだった。最初の19周ではブレーキディスクが3枚しか機能せず、マシンをコース上で走らせ続けるのが余計に難しくなった。でもありがたいことに、最初のピットストップでブレーキが暖まると、そのトラブルは自然と消えたので、その後はいいペースで走れた。ただ、残念ながらその時にはもう手遅れだった。それでもこの難しいコンディションの中で完走し、自分に可能な最大限のポイントを取ることができたので、これでよしとしなければならないね。

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