FIA国際自動車連盟のラリー部門責任者ヤルモ・マホネンはラリーでの事故から観客を守るため、大会運営者と観客に対し、安全対策を周知させることが必要不可欠だと語った。
4月に行われたWRC世界ラリー選手権第4戦アルゼンチンでは、ヒュンダイのヘイデン・パッドンがSS9で観客を巻き込むクラッシュを起こし、6名が病院へ搬送された。また先週末に開催されたエストニアラリーでも観客が巻き込まれるクラッシュがあり、3人の観客が亡くなっている。
マホネンは、アルゼンチンの一件が多くの問題を浮き彫りにしたと語った。
「アルゼンチンのアクシデントは、観客が本来居るべきではない場所に立ち入っていたことが原因だった。もちろん、観客が立ち入り禁止エリアにいたことを言い訳にするつもりはないがね」
「大会運営者は、立ち入り禁止エリアに観客が入ることがないよう徹底する必要がある。事故があった場合、観客に責任を負わせるようなことはあってはならないと私は考えているよ」
「観客だけでなくマーシャルやオーガナイザーにも安全対策を周知し協力してもらう必要がある」
「安全対策の90%は、大会前の活動に掛かっている。(ラリー・アルゼンチン後の)ポルトガルでは、キャンペーンを重点的に実施して、観客がどう振る舞うべきか周知させた」
シトロエンからWRCに参戦しているクリス・ミークは、アルゼンチンの事故後の対応に懸念を示している。
「なんらかの対応がなされるべきだった」とミーク。
「大惨事になる可能性があったにも関わらず、事故後、誰もが秘密にしたがっていた。違和感を感じたよ」
「僕たちはもっとオープンで現実的になる必要がある。アルゼンチンの事故は、5人か6人くらい観客が亡くなってもおかしくないものだった」
「僕たちがステージを走行する直前に、ヘリコプターを使って安全確認をするべきだ。走行1時間前くらいに実施されるゼロカーでの安全確認では不十分だよ。クルマが通り過ぎた後に、観客が移動する可能性があるからね」
「もし観客たちが正しい場所で観戦していなければ、何度でもステージをキャンセルするべきだ。そうすれば観客同士で注意しあうようになる」
アルゼンチンでの事故に対し、FIAは調査を実施している。