1997年F1チャンピオンであるジャック・ビルヌーブが、現在F1は間違ったファン層をターゲットにして、よくない方向に規則変更を行っていると強く批判した。
2014年世界ラリークロス選手権への参戦発表の際に、F1に次第に人為的な要素が増えてきているのは残念なことであると、ビルヌーブは語った。
「F1の現状に懸念を感じている。僕が間違っていればいいのだが」とビルヌーブ。
「彼らがやろうとしていること、そのコンセプトが理解できない」
「F1はもはや最高のシリーズではないし、ドライバーはヒーローではない。人為的な方向に変更がなされ、それがうまく機能していないというのが問題だ」
「6カ月間は楽しめるかもしれない。でもその後は皆、飽きてしまう。一度人為的な要素を取り入れ始めると、それをどんどん増やさなければならなくなり、最終的にはもはや真のレースとはいえないところまでいってしまう」
2014年の規則変更に批判的なビルヌーブは、2011年にDRSが導入されたころからF1はすでに間違った方向に進み始めていたと述べている。
「エンジンレギュレーションの影響ですべてがあまりに強く制限され、もはや以前のF1ではなく、特別なものではなくなってしまった」とビルヌーブは言う。
「燃料をセーブするのはいい。過去にそれがうまくいっていた時もある。だが、ドライバーたちが燃料をセーブする必要がないというのが問題だ。すべて電子的にコントロールされてしまう」
「ドライバーはただクルマに乗ってさえいれば、勝手に燃料がセーブされる。それは本来の目的を損なう」
「F1の最高の面が取り去られてしまった。オーバーテイクが成功するのは、ドライバーが特別な動きをするからではなく、ボタンを押したからなんだ」
F1が今までとは異なるファン層を引き付けるために、環境に優しいイメージを強めようとしているのは間違った判断だと、ビルヌーブは主張した。
「F1は間違った層をターゲットにしている」とビルヌーブ。
「彼らは環境問題意識が高い人々の要求に応えようとしている。だがF1は“グリーン”なものではないから、そういう人々を取り込もうとしても無駄だ」
「政府や議会に対してはいいイメージを与えるだろうが、それはもうF1ではない」
「彼らは集中力が持続しない若いファンをターゲットにしたいと考えている。だがそういうファンは2秒ごとにオーバーテイクを見たがって、それがどんな最低なオーバーテイクでも気にしない。理解していないからだ」
「僕は純粋主義者であり、このスポーツを愛している。4台しか完走せずその間隔が2周も開いていたとしても、ファンがレースを楽しんだ、60年代や70年代を愛していた」
「彼らはドライバーがやること、ドライバーが成し遂げたことを尊重していた」
「彼ら(F1上層部)は、長い目で見てF1にとってプラスに働かないような決定を次々に下している」