質実剛健——エンジニアリング強化が実を結ぶか?
マクラーレンがインターネットでニューマシンを発表する前日の1月23日に、すでにデジタルイメージで新車FW36を発表していたのがウイリアムズだった。それは、それだけ新車の開発が順調だったことを示している。
CADによってFW36の開発がスタートしたのは2013年の5月。その月末には、2014年に向けたパワートレインをルノーからメルセデスに変更すると発表。基本的なマシンのコンセプトは9月中旬までに決定し、それ以降はメルセデスエンジンに合わせた冷却システムの確認とマシンの軽量化、そしてエアロダイナミクスのアップデートに集中していた。
こうして発表されたFW36は、多くのライバルたちが採用している“アリクイ”ノーズであるが、クラッシュテストを2013年内に済ませていたことを考えると、ウイリアムズのアリクイノーズこそ、もっとも早く生み出されたアイデアだったのかもしれない。
車体にスポンサーのロゴがほとんどないのが気になるが、マシンを開発する技術部門は昨年から徐々に強化されている。まず、2013年の7月にマルシャからパット・シモンズが加入し、チーフ・テクニカルディレクターとして全体を指揮。さらに12月にはデイヴ・ウィーターをロータスから、ショーン・ホワイトヘッドをレッドブルからヘッドハンティング。いずれも空力部門の責任者であるジェイソン・サマービルのサポート役に回る。
そして、1月に入って、メルセデスAMGから車両力学責任者のクレイグ・ウィルソンを獲得。同時に、テスト&サポートのチーフエンジニアとしてロータスからロッド・ネルソンも移籍させている。ウィルソンとネルソンのふたりはいずれも以前所属していたチームで核となる働きをしていたスタッフである。
もうひとつ今年のウイリアムズにとって力強い味方となりそうなのが、メルセデスのパワーユニットだ。BMWが去ってから、コスワース、トヨタ、コスワース、ルノーとエンジンを乗り換えてきたが、再び搭載したドイツ製エンジンのパワーが、久しぶりに古豪を復活させる可能性は十分ある。
ウエットコンディションだったとはいえ、ヘレステスト最終日にはフェラーリから移籍してきたフェリペ・マッサがトップタイムをマーク。2012年のザウバー、2013年のフォース・インディアのように、2014年の台風の目になるのは、エンジニアリングが大きく強化されたウイリアムズかもしれない。