大型ハリケーンに翻弄されたアメリカGP。まだ濡れた路面でスタートしたレースは、レッドブルがメルセデスから首位を奪う場面もあった。結果はルイス・ハミルトンが優勝で自身3度目のタイトルを決定。完走12台のサバイバルとなったオースティンの56周を、ドライバーとチームの無線交信から振り返る。
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<スタート前>
ルイス・ハミルトン→(ドライバーからチームへ)「路面は急速に乾いてきている」
<LAP1>
ロマン・グロージャン→「オー、ノー! 誰かがヒットした!!」
←(チームからドライバーへ)「何が起きた?」
→「左リヤをパンクさせられた!」
フェルナンド・アロンソ←「左リヤがパンクしている」
→「コース上はデブリだらけだ」
<LAP3>
セルジオ・ペレス←「グリーン・カウ・3(ボタン操作の指示)。ターン1にデブリがある」
<LAP7>
ルイス・ハミルトン→「すごく滑りやすい。ニコ(ロズベルグ)も同じ問題に悩まされている?」
←「聞いてみるが、タイヤ温度は作動領域の上限ギリギリだ」
ダニール・クビアト←「マシンバランスはどう?」
→「全体的にグリップが低いけど、大丈夫。彼(ハミルトン)より速いから、なんとか捕まえるよ」
←「了解。仕掛けるタイミングは慎重に考えろ」
ダニール・クビアト→「なぜハミルトンは(バーチャルセーフティカーで)こんなにゆっくり走っているんだ?」
←「わからないが、気にするな。数秒差で走っていれば問題ない」
<LAP8>
ダニエル・リカルド→「いったい、どうやってロズベルグが抜いたんだ!?」
←「ダブルチェックする」
<LAP9>
ダニール・クビアト←「(ロズベルグに)抜かれたのはしょうがない。落ち着いていこう」
ニコ・ロズベルグ←「これ以上雨は降らない。タイヤに気をつけろ。(ハミルトンに)仕掛けても構わないぞ」
<LAP10>
ジェンソン・バトン→「何かやる必要がある、この状況は恥ずかしいよ」
←「ドライになるまで、このタイヤはもつと思うか?」
→「もうひどい状態だから、もたないと思う」
<LAP11>
フェルナンド・アロンソ←「セクター1とセクター3はクロスオーバーに近づいて来ている。セクター2は、まだインターミディエイトのタイムだがグロージャンがピットインしてソフトを履いた。彼のタイムは、あとで伝える」
ロマン・グロージャン←「ブレーキダクトが壊れていてリヤのブレーキ温度がクレイジーなくらい上がってしまった。スリックタイヤを履くギャンブルをしたが、いずれにしても、これではレースを走り切ることはできない」
<LAP13>
ニコ・ロズベルグ←「DRSが使えるぞ」
→「(最終コーナーでコースオフしたクビアトについて)あんなコースへの復帰は危険だ!」
キミ・ライコネン→「これだけ接近しているのに、なんでDRSが使えないんだ!」
←「チェックしている」
<LAP16>
キミ・ライコネン→「あのガキ(マックス・フェルスタッペン)が何度も僕を押し出そうとした。仕掛けるたびにやるんだ。あれは合法なのか? それなら僕も同じようにやるぞ」
←「チャーリーに確認するよ」
<LAP17>
ダニエル・リカルド←「いまはバカなことをするな、ピットストップのタイミングを見きわめなければならない」
<LAP18>
ルイス・ハミルトン←「ピットインだ」
<LAP19>
キミ・ライコネン←(コースアウトしたあと)「OK、タイヤを用意しておく」
→「OK」
<LAP21>
ニコ・ロズベルグ→「もう1回ピットインするの?」
←「そうだ」
→「次のピットストップでバイザーをきれいにしてくれ」
←「了解」
<LAP23>
ニコ・ロズベルグ←「(リカルドを抜いて)いいぞ、落ち着いてギャップを広げていこう」
<LAP24>
フェリペ・マッサ→「クルマがおかしい、ピットインする。サスペンションがおかしい、ダンパーか何かだ」
←「トラブルだ、リタイアしなければならない」
<LAP25>
ニコ・ヒュルケンベルグ←「いま7位だ。フェルスタッペンとの差を1周で1秒縮めているぞ」
<LAP26>
キミ・ライコネン←「右フロントのブレーキ温度が完全に上がってしまっている。スローダウンしてピットインしてくれ、リタイアする」
<LAP27>
マーカス・エリクソン→「パワーを失った」
←「BBW(ブレーキ・バイ・ワイヤ)は大丈夫だ」
→「エンジンがシャットダウンしたんだ」
←「MGU-Kでリスタートをトライしてくれ」
→「機能しないよ」
<LAP28>
ニコ・ロズベルグ←「セーフティカーだ、ステイアウト。(ラップタイムの)デルタをポジティブ側にキープしろ」
ルイス・ハミルトン→「タイヤの温度差がある? 全然グリップがないんだけど」
←「差はない。いままで通りの走りをしろ。燃料は十分にある」
<LAP30>
セルジオ・ペレス→「リヤがロックしている。すごく激しくて不快だ」
<LAP31>
ダニール・クビアト←「リスタートは、すごくトリッキーになるぞ」
<LAP32>
ニコ・ロズベルグ←「セーフティカーがいなくなるときは、ターン12でライトが消える。そこからペースをコントロールしてリスタートに備えろ」
ルイス・ハミルトン→「ターン1で激しくロックする。他のライン取りをしたほうがいい? 他のドライバーは、もっと深くまで行っている?」
←「残念ながらライン取りに関してはアドバイスできない」
<LAP35>
セバスチャン・ベッテル←「ターン11から12の間にあるバンプは避けて走れ。信頼性のために非常に重要だ」
ダニエル・リカルド←「クルマがOKならステイアウトしろ」
→「ダメージはあると思うけど留まるよ」
<LAP38>
ダニエル・リカルド←「スタックさせて(クビアトと)同時にピットインする」
<LAP39>
ルイス・ハミルトン←「後ろのベッテルはピットに入って、最後まで行く」
→「タイヤの状況としては、かなり不利だよね?」
←「これから分析してみる」
<LAP40>
ルイス・ハミルトン←「ここからはフロント(タイヤ)が厳しくなる。最後までいけそうか?」
→「もうアンダーステアが出ているんだ、無理かもしれない」
<LAP42>
ダニール・クビアト→「クラッシュした、みんなゴメン」
←「何か壊れたのか?」
→「僕のミスだ」
<LAP45>
フェルナンド・アロンソ←「バトンは(タイヤの)グレイニングがひどくてピットインした」
マックス・フェルスタッペン←「タイヤのライフは限界ギリギリだ。後ろのベッテルはピットインして新品のソフトに換えた。彼とは戦うな」
ジェンソン・バトン→「うまくいきそうだよね?」
←「レース序盤にペレスを抜いているのは良いことだ。ペレスは19周オールドのミディアムで、タイヤのデルタ(ペレスとのペース差)は良いから、うまくいきそうだ」
ルイス・ハミルトン←「残り10周、(ロズベルグとのバトルは)うまくクリーンにいけ」
<LAP48>
セバスチャン・ベッテル→「(ロズベルグが後退してきて)何が起きたんだ?」
←「問題が起きた。捕まえろ」
<LAP50>
カルロス・サインツJr.←「燃えてるな! プッシュし続けろ」
<LAP51>
フェルナンド・アロンソ→「変なバイブレーションが出ている。エンジンパワーが落ちている。どうしたらいい?」
←「データ上は問題ない、そのままいってくれ」
→「OKじゃない、パワーがないんだ! ピットインする」
←「ステイアウト、まだポイント圏内にいるんだ」
→「ポイントが獲れなかったらピットインするよ?」
<チェッカー>
ルイス・ハミルトン←「ルイス、やったぞ! ワールドチャンピオンだ! ワールドチャンピオン!」(エンジニアのピーター・ボニントン)
←「3度目のワールドチャンピオン、どんな響きだ?」(パディ・ロウ)
→「僕の人生で本当に素晴らしい瞬間だよ。みんな本当にありがとう。家族のみんなも愛しているよ」
←「(ドーナツターンで)このレースカーにダメージを与えないように気をつけろ、来週もレースがあるんだからな!」