今年でF1日本グランプリ開催25回目を迎える鈴鹿サーキット。過去24回のレースの中からファンの投票により選ばれたベスト10レースを連載形式で紹介していきます。第3位に選ばれたのは、小林可夢偉がヘアピンでのオーバーテイクショーを繰り広げた2010年のレースです。

 2009年終盤2戦にトヨタから出場し、ブラジルGPではチャンピオンのジェンソン・バトン(ブラウンGP)らとのバトルを制し9位。最終戦アブダビGPでは見事6位入賞を果たした小林可夢偉。トヨタはこの年限りでF1からの撤退を発表し、翌年の可夢偉のシートはなくなったかと思われたが、BMWザウバーが来季のドライバーとして可夢偉を採用。2010年、本格的にF1フル参戦を果たすことになった。

 2010年第7戦で10位初入賞を果たした可夢偉は第10戦で6位フィニッシュの快挙。その後もコンスタントに入賞を重ね、第16戦日本グランプリを迎えた。

 土曜日の雨でスケジュールが変更され、2010年F1日本グランプリは日曜日に予選と決勝が行われることになった。前日の雨が嘘かのような晴天に恵まれた日曜日。可夢偉と山本左近(HRT)の2人の日本人ドライバーはファンの大きな声援を受け、予選に挑んだ。

 特に上位入賞が期待される可夢偉は、予選Q1を10位で通過。Q2はアタックを決められず、決勝のスターティンググリッドは14番手となったが、ここからが可夢偉の本領を発揮する舞台だ。これまでもアグレッシブかつ冷静なオーバーテイクを何度も見せてきた。日本の期待を一手に背負い、24歳の可夢偉は決勝レースに臨んだ。

「ザウバーのマシンはストレートが遅いので、小さなコーナーで抜くしかなかったんです」とレース後語った可夢偉。ファンの期待にこたえるかのように、13周目のヘアピンでハイメ・アルグエルスアリ(トロロッソ)をインから抜くと、18周目には同じヘアピンでエイドリアン・スーティル(フォース・インディア)をオーバーテイク。

 これで9位に上がった可夢偉はピットインのタイミングで12位へドロップ。しかしここからまたヘアピンでのオーバーテイクショーが再開された。44周目には再びアルグエルスアリに追いつき、アウトからオーバーテイク。48周目にはルーベンス・バリチェロ(ウイリアムズ)のインに飛び込んだ。49周目にはチームメイトのニック・ハイドフェルドに追いつき、迷わずヘアピンで前に出た。これで7位浮上だ。

 残り4周。前を行くミハエル・シューマッハー(メルセデスGP)を追ったが届かず7位でチェッカー。自己最高位を更新することはできなかったものの、鈴鹿F1史上、誰も見せたことがない5度にわたるヘアピンでのオーバーテイクにファンは熱狂。これからも語り継がれる、鈴鹿の名シーンのひとつとなった。

■F1日本グランプリ 語り継ぎたい24レース

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