中国GPが開催されている上海インターナショナル・サーキットに、ホンダF1のプロジェクトリーダーを務める新井康久(本田技術研究所取締役専務執行役員四輪レース担当)が姿を現した。新井プロジェクトリーダーが現場を訪れるのは、今年の開幕戦オーストラリアGP以来だが、今回は視察が主な目的ではない。国際自動車連盟(FIA)が主催する共同記者会見に出席するためである。
FIAが主催する共同記者会見は木曜日がドライバーで、金曜日はチーム関係者。ただし、ホンダがF1に参戦するのは2015年。まだ参戦していないにも関わらず、1シーズン前の公式会見に出席するのは極めて異例のことだ。会見を主催するFIAによれば、今回の出席はFIA側からの強い要望だったという。
「今回のホンダの会見への参加は、3メーカーしか参加していない現状を危惧しているジャン・トッド会長たっての希望だった」(FIA関係者)
そんな中、金曜日の午後4時に開始された会見で、新井プロジェクトリーダーはまず、会見への出席を要請してくれたF1界に対して感謝を述べた後、2008年7年ぶりにF1に復帰する理由を次のように述べた。
「今季、大幅に変更されたパワーユニットに関する新しいレギュレーションは、環境に配慮したテクノロジーとなっており、自動車メーカーにとって非常に魅力のあるものでした。と同時に、燃費を向上させ、2つの回生エネルギーを活用する新しいパワーユニットのマネージメントは、ホンダだけでなく自動車メーカーにとって、とてもチャレンジしがいのある内容でした」
また、「今年6月に設備の搬入を行うこととなっているイギリス・ミルトンキーンズのF1活動拠点の始業も予定通り」と、2015年へ向けて順調にプロジェクトが進んでいることを強調。2015年シーズンへ向けての抱負を尋ねられると、「まだ2015年にはなっていないので、来年のことを語るには少し早すぎる」と自重する姿が見られた。
その一方で「燃費向上には燃焼室のデザイン、エネルギーの回生方法、トルクマネージメントの3つが重要なポイントとなる」と持論を展開し、来るべきシーズンへ向け、自信ものぞかせた。
ウワサされているマクラーレン以外へのパワーユニットの供給に関しては「2015年はマクラーレンのみ」と、従来の主張を繰り返した一方で、まだ具体的な話は無いとしながらも「2016年以降に関しては、もしわれわれのパワーユニットを使用したいという申し出があれば、断る理由はない」と、複数チームへの供給も可能であることを明らかにした。