昨年、FIA GT3選手権とADAC GTマスターズにおいて、20年振りにモータースポーツ活動を復活させたBMWアルピナチームだが、わずか1年のワークス活動で撤退することとなった。
60~70年代の全盛期を彷彿とさせるアルピナグリーンをまとったB6 GT3のワークスカーは、オーストリアのエス-ベルク・レーシングが買い取り、FIA GT3とGTマスターズの運営を引き継ぐ形になる。元DTMドライバーで、アルピナ社代表取締役のアンドレアス・ボーヘンシーペン監督は引き続き新チームでも指揮をとる予定だ。エス-ベルク・レーシング代表のハンス・ヴァイトガッサー氏は、F1のザウバーとBMWチームを渡り歩いた人物で、06年に独自のチームを発足させ、08年までランボルギーニ・ガイヤルドでFIA GT3選手権に参戦、チェコの耐久シリーズにも参戦していた。
わずか1年でワークス参戦からの撤退をせざるを得なくなった要因には、世界的に襲った09年の経済不況から、自動車業界への不況が直撃したためと推測される。数多くの往年のアルピナファンに、ニュルブルグリンクが沸いた09年。ごく短期間の間にB6 GT3の開発を行い表彰台に立てることを証明し、実り多い充実した一年だったと言えるだろう。
今後のアルピナは、レース活動を引き継ぐエス-ベルク・レーシングとフランスのMPレーシングの2つのプライベーターのサポートを行い、さらなる上位入賞を目指すという。そして、サプライヤーとして引き続きB6 GT3のレーシングカーの開発と車両提供を行うようだ。2010年FIA GT3選手権は5月2日にシルバーストンで開幕するが、ドライバーラインナップの選考にはまだ少し時間がかかるだろう。