2012年F1第9戦イギリスGPは現地時間8日に当地のシルバーストン・サーキットで52周の決勝レースが行われ、レッドブルのマーク・ウエーバーが終盤の逆転劇で今季2勝目を挙げた。ザウバーの小林可夢偉はピットストップでチームクルーをはねるミスが響き、11位に終わった。
豪雨による長時間の予選中断など、週末を通してブリティッシュウエザーに悩まされた今年のイギリスGP。しかし決勝日のシルバーストンは、依然として上空を厚い雲が覆ったものの、晴れ間からは日差しも照りつけ、レースはドライコンディションで13時のスタートを迎えた。
予選9番手のニコ・ヒュルケンベルグはギヤボックス交換、同12番手の小林可夢偉は前戦のペナルティで5グリッドの降格を受け、ヒュルケンベルグは14番手、可夢偉は17番手からスタート。そのほか、トロロッソのジャン−エリック・ベルニュ、マルシャのシャルル・ピックもそれぞれ10グリッドと5グリッドの降格を受けている。
レースは、上位勢の多くがスタートでソフトタイヤを装着するなか、ハードタイヤを選択したPPのフェルナンド・アロンソがスタートで2番手のウエーバーを抑え序盤のリードを奪った。トップを走るアロンソは、その後もウエーバーを徐々に引き離すと1回目のピットストップまでに5秒のギャップを築き、ハードタイヤでつないだ2スティント目以降もウエーバーとの差を保って、37周目に最後となる2回目のピットストップを行った。
しかし、レースはここから流れが少しづつ変化。残り周回をソフトタイヤで逃げ切る作戦のアロンソに、ハードタイヤのウエーバーが追いかける展開に変わると、終盤はアロンソのタイヤが予想以上のパフォーマンスダウンを見せ、ウエーバーが一気にその差をつめた。そして、残り5周を切ったところでウエーバーがあっさりとアロンソを交わしてトップに浮上、そのまま逃げ切ったウエーバーが通算9勝目となる今季2勝目を挙げた。
ポジションを守れなかったアロンソはそれでも2位でフィニッシュし選手権首位の座を維持。3位にはウエーバーのチームメイト、セバスチャン・ベッテルが入り、5位のキミ・ライコネンを抑えきったフェリペ・マッサは今季最上位の4位でフィニッシュ。マッサの4位は実に2010年第13戦ベルギーGP以来となった。
後方スタートとなったザウバーの小林可夢偉は、1回目のピットストップを終えて9番手まで浮上。レース中盤もミハエル・シューマッハーらとポイント圏内の争いを見せた。しかし、その最中に向かった2回目のピットストップで停止位置をオーバーするミスを冒すとピットクルーまではねてしまい大幅にタイムをロス。コース復帰もポイント圏外に脱落した可夢偉は、最後に追い上げを見せたものの、11位フィニッシュと入賞にはあと一歩届かなかった。
可夢偉のチームメイト、セルジオ・ペレスはパストール・マルドナドとの接触でリタイアに終わったが、この接触についてはレース後にスチュワードによって審議されることになっている。