フェリペ・マッサの代役としてヨーロッパGPに出場することになったミハエル・シューマッハーに関し、フェラーリは例外としてテストを許可するよう他チームに要請しているが、レッドブルとウイリアムズはこれを拒否している。
今季F1ではシーズン中のテストが禁止されており、これを破ることは将来に向けて危険な前例になりかねないとして反対が出ている。スクーデリア・トロロッソのルーキー、ハイミ・アルグエルスアリがハンガリーGPでデビューする際には、ほとんどF1の経験がないにもかかわらず、規則に従って事前にテストをすることはできなかった。
「ハイミ・アルグエルスアリはハンガリーの週末のデビューレースに臨む前にはF1マシンに乗り込んだことがなかった。7度の世界チャンピオンであり91勝を挙げているミハエル・シューマッハーなら、慣れるのに問題はないはずだ」とレッドブル・レーシングのチームボス、クリスチャン・ホーナーは述べた。
「それに、ミハエルはムジェロで2年落ちのフェラーリをドライブしている。すぐにペースを取り戻せるに違いない」
現在のマシンF60で走ることは規則違反となるため、シューマッハーは先週ムジェロで2007年型フェラーリで70周近くを走行した。フェラーリはF1クリエンティ部門から持ち出してきた2年落ちのマシンにスリックタイヤを装着して、シューマッハーに練習の機会を提供した。シューマッハーは今年初めにスーパーバイクで首に怪我を負っており、レースに先立ってさらなるトレーニングが必要となるだろう。また、シューマッハーはシミュレーターを使って現在のF1のステアリングに慣れる機会も得たという。
ウイリアムズのチームボス、フランク・ウイリアムズは、シューマッハーの復帰を歓迎しながらも、規則を重んじ、例外を認めることには反対している。
「シーズン中にはいかなる形でもサーキットでのテストは禁止されているというのが事実だ」とウイリアムズ。
「このレギュレーションはFIAによって明確にされており、全チームがこれを忠実に守っている。アルグエルスアリがハンガリーでレースデビューする前にトロロッソがマシンに慣れる機会を彼に与えず、彼がレースで初めてF1マシンをドライブすることになったのも、そのためだ」
「ウイリアムズF1としては、アルグエルスアリとシューマッハーの両者の状況に何の違いも見出せず、いかなる形であれ規則からの逸脱は将来に向けて先例を作ることとなってしまうと考える」
一方、チームの大多数はシューマッハーにテストの機会を与えることに賛成している。FOTAとしてのコンセンサスという意味では、ウイリアムズはFOTAから会員資格を剥奪されているため無関係としても、メンバーであるレッドブルの反対は大きな影響を及ぼすこととなる。