16日に東京・お台場で『KEN BLOCK's TOKYO EXPERIENCE』を開催し、9000人以上の観客を集めたケン・ブロックが、オートスポーツwebのインタビューに応じてくれた。

 今回は、世界的なドライバーにインタビューできるまたとない機会ということで、ツイッター上で彼へのインタビューを募集し準備万端で臨んだが、イベント当日でスケジュールも立てこんでおり、確保されていた時間が減らされてしまう形に。外見から少し怖い人なのではないかとも想像していたのだが、インタビューに際して事前に通訳の方に彼の印象を聞いたところ“いい人”とのことだったため、少し安心してインタビューに入ることが出来た。

 いよいよ取材となり、食べ物のいい匂いが漂うブロックの控えテントに案内されると、お目当てのブロックが一番奥の椅子に座っていた。帽子もサングラスも外してしまうとあまり“いかつく”はなく、体格の良いアメリカ人といった印象。こちらのつたない英語での挨拶にも関わらず、人懐っこい笑顔で手を差し出してくれた。

 とはいえ、時間が押し気味だということで早速質問に入らせてもらった。まず、彼を一躍世界的なスタードライバーに押し上げたYouTubeの動画『KEN BLOCK'S GYMKHANA』シリーズは、全世界で1億回以上もの再生回数を誇り、今や彼を語る上では欠かせないもの。そこで、ファンとしては気になる次回作について尋ねると「実は今、6と7に着手しているんだ」とブロック。彼が創立者のひとりであるスポーツ用品メーカー『DC SHOES』のプロモーションビデオとしての側面もあるためある意味シークレットかと思いきや、時期についてもあっさりと「今年の秋には6を、来年の春には7を公開できればと考えているよ」と明かしてくれた。
 過去の動画の製作期間や、撮影にあたっての走行練習などに関しても、かなり具体的にこう続ける。
「(シリーズの)5に関して言えば、6ヶ月間の企画と、4日間の撮影を行ったよ」
「練習は1日くらいしかしないんだ。動画で披露する技というのはこれまでのデモランやコンペティションで披露しているものだから、何か特別違うことをするというときだけ練習する」と、普段披露しているものの繰り返しだからというのは理由としては納得できるが、動画を見てしまうとあのドライビングをするための練習が1日という事実には驚きを隠せない。

 もちろん、動画でのパフォーマンスだけではなく、実際に世界最高峰のWRC(世界ラリー選手権)にも参戦しトップレベルのドライバーたちと腕を競いあっているブロック。ただ、そのレベルに達してもなお、恐怖心というものは完全にはぬぐい切れないようだ。
「唯一恐怖を抱くのはステージラリーのときなんだ」
「例えば崖っぷちを走らなくてはならないだとか、スタート前のドキドキした瞬間だとかに、そういった緊張感を味わうことはある」
 そんな彼が今までで一番命の危機を感じた出来事は、2011年にWRCのラリー・ポルトガルで起きたクラッシュだという。
「これまで経験した中で一番大きなクラッシュで、4回転した。命に別状はなかったけれど、それが一番近かったと思う」と当時の様子を振り返ったブロック。YouTubeで確認してみると、4回転というのは単なるスピンのことではなく、空中に舞い上がった状態で4回転しており、マシンの安全性もさることながら、命に別状はなかったという彼の肉体の頑強さにも驚いた。

 彼は動画を始め今回のパフォーマンスの中でドリフトを披露したが、イベントのプログラムにも組み込まれていたドリフトの美しさを競うD1への参戦については、興味は示しつつも次のように否定した。
「もちろんD1グランプリのことは知っているし、これまで2度チャンピオンを獲得しているクマクボ(熊久保信重)のこともよく知っているよ。でも、自分自身で参加したいとは思わないな」
 同じドリフトとはいえ、彼のドリフトとD1のドリフトは別物なのだという。
「後輪駆動のクルマでドリフトをするのと、僕のやっているように全輪駆動のクルマでドリフトをするのは違うから、経験を積まないとできないと思うよ」

 最後に、かつてはスバル・インプレッサをドライブしていた彼に、再びインプレッサに乗る可能性を尋ねてみると、少し間を置いた後、現状での可能性を否定した。
「スバルは僕のキャリアスタートの際に企業として非常に素晴らしいサポートをしてくれたし、本当に敬意を持っている。ただ、ご存知のように現在はスポンサーがフォードにかわり、マシンにも非常に満足しているから、現状ではスバルに乗ることは考えられないよ」
「でも、未来のことはわからないし、そういった可能性も無きにしもあらずかな」

ケン・ブロックが命の危険を感じたというクラッシュはこちら

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