今季、スーパーGT500クラスにNSXコンセプト-GTを投入するホンダ。ドライバー面でも多くの新外国人ドライバーが加わり、ビタントニオ・リウッツィ、ジャン-カール・ベルネイ、ベルトラン・バゲットという3人のドライバーがGT500に初参戦することになった。この中で、元F1ドライバーであるリウッツィはその経歴を良く知られているが、ベルネイ、バゲットというふたりはどんなドライバーなのだろうか。

 童夢に加入したベルネイは、F3ユーロシリーズを経て2010年に渡米。インディカー直下のインディライツでチャンピオンを獲得した実績をもつ。その後はなかなかフォーミュラのシートには恵まれず、ポルシェスーパーカップやWEC世界耐久選手権などに参戦してきたフランス人ドライバーだ。

「新しくパートナーとなったナオキサン(山本尚貴)と一緒に組んでスーパーGT500クラスに参戦することになってとても誇りに思っている。この素晴らしいニューマシン、ホンダNSXコンセプト-GTで戦うことになってとても嬉しいよ」とベルネイは意気込みを語る。

「それにミシュランタイヤのパフォーマンスはここ数年間とても高いことが証明されている。すべてのチャンスを活かして、最後まで全力を尽くして結果を出したいと思う」

 一方のバゲットは、ベルギー出身でフォーミュラ・ルノー等を経て、2009年にはルノーF1やBMWザウバーをテストした経験をもつ。2010年〜11年にはインディカーにも参戦したが、12年にはスポーツカーに活動を移し、OAKレーシングに加入。13年はWEC世界耐久選手権を戦い、LMP2クラスのワールドチャンピオンを獲得した。

「今季スーパーGTに加われて、Epson NAKAJIMA RACINGでダイスケサン(中嶋大祐)と戦わせてもらうことをとても誇りに思っているよ」とバゲットは語る。

「ダイスケサンが日本での新しい生活にすごく馴染ませてくれているし、チームともフレンドリーに接することができてとても感謝しているよ。もう新しいNSXコンセプト-GTはテストしたけど、とても素晴らしいし、ダンロップタイヤとも相性がいいと感じた。最初のレースからいい戦いをみせて、トップを目指したいと思う」

 そんなふたりは、なぜ日本での戦いを選んだのだろうか? 実は、ふたりには共通して日本行きを勧めたある人物がいるという。それは、今季からARTグランプリでGP2のチームマネージャーを務めるセバスチャン・フィリップだ。フィリップは1999年に来日し、2000年に全日本F3のチャンピオンを獲得。全日本GT選手権/スーパーGTでも長年活躍し、近年はフランスに戻りOAKレーシングのチーム代表も務めていた。

「フランスとスーパーGTはとても長い繋がりがあって、フランス人は多くのドライバーが参戦している。フィリップやロイック・デュバルからはたくさんのアドバイスをもらったよ」と語るのはベルネイだ。

「フィリップは500mくらいしか家が離れていないんだ。僕が子どもの頃に家にはよく遊びにいったけど、日本で獲得したF3やGTのたくさんのトロフィーをみせてくれた。だから日本は憧れのシリーズだったし、このチャンピオンシップは世界中で考えてもとても難しい、レベルの高いカテゴリーだと思う」

 またバゲットも同様に、OAKレーシング時代にスーパーGTのことをフィリップから多く聞いたという。

「このスーパーGTについては、ジャン-カールと同じで、僕もフィリップからたくさんのことを聞いてきたんだ。彼は2年間、僕が在籍したOAKレーシングの代表で、僕にたくさんのビデオやYoutubeの動画をみせてくれたんだ」とバゲットは語った。

「レースは長時間だけど、接触も多いしまるでスプリントレースみたいだ。でも、だからこそ僕はすごく好きなんだと思う。2年間WECで戦ってきた経験から、こういう激しいファイトを求めていたんだと思う。すごくレベルは高いし大変だけど、勝つことができればと思うよ」

 ちなみに、ふたりは日本のファンに向けて“ニックネーム”を披露してくれた。ベルネイは「ジャン-カールは長いし言いにくいから、『JK』と呼んでくれればと思うよ(笑)」とのこと。一方のバゲットは「『ハシ』と呼んで欲しいね(笑)」とのことだ。フランス語でバゲットと言えばパンの名前だが、もともと"固い棒"の意味があり、日本の"箸"の意味もあるのだとか。

 両者ともフレンドリーで、積極的に日本のレースに溶け込もうとする姿勢をみせてくれている。ベルネイはフレデリック・マコウィッキ、バゲットは道上龍と、スーパーGTで実績を残したドライバーの後継となる。ふたりとも日本で要求されるものは高いが、どう結果を出してくるのだろうか。

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