「私はポールポジションしか考えていない。2番じゃない」

 開幕戦を欠場し、このマレーシアGPから復帰してきたフェルナンド・アロンソは、フェラーリに移籍したベッテルが予選2位を獲得したことについて尋ねられて、そう答えた。エリック・ブーリエ(レーシングディレクター)を挟んで、隣で聞いていた新井康久(専務執行役員/F1プロジェクト総責任者)の表情が一瞬、引き締まった。

 オーストラリアGP後、2週間弱の間に対策してきたホンダのパワーユニットはメルボルンよりも高温となったセパンで問題を起こすことなく、順調に周回を重ねていた。フリー走行3回目で一時ジェンソン・バトンがピックアップに関する問題を指摘してきたものの、それはエンジン側の問題ではなかった。

「ジェンソンからの指摘を受け、すぐにデータを確認して、エンジン側のデータ変更も考えたが、結局変更はしなかった。そのあと同じような問題は指摘されなかった。ただ、こういう部分が気になりだしたということは我々にとって良い兆候。細かい調整をしていくことで、ドライバビリティが熟成されるから」と、新井総責任者も開幕戦からの進化を確認していた。

「Q1をギリギリで突破できるかなと思っていた」という新井総責任者だが、Q1で15位のペレスにコンマ3秒及ばなかった。もちろんパワーユニットを完全な状態で使用できていないことも関係しているが、それ以外にも「セクター2で少しミスした」(アロンソ)というドライバー側の問題があったり「タイヤの熱入れに苦労した」(バトン)という車体側の問題も影響していた。だから、予選で107%以内に入ったドライバー中で最下位となる18位に終わったアロンソが、コクピットを降りて下を向くことはなかった。そして記者会見で、こう続けた。

「私たちにはメルセデスを倒すという目標がある。時間はかかるかもしれないけど、このチームはそれを可能にする集団だと信じている」

 それを聞いた新井総責任者は「チームを勇気づけてくれる彼の姿勢にはいつも頭が下がるし、ありがたいと思っている。その気持ちに早く応えたい」と言って、エンジニアリングルームへ消えていった。

 17番グリッド、バトン。18番グリッド、アロンソ。フロントロウからスタートする現王者・元王者のバトルとともに、後方からスタートするふたりのチャンピオンドライバーの戦いにも注目したい。

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