復活したマクラーレン・ホンダの活躍を甘口&辛口のふたつの視点からそれぞれ評価する連載コラム。レースごとに、週末のマクラーレン・ホンダのコース内外の活躍を批評します。今回はフェルナンド・アロンソが今季初ポイントを獲得した第9戦イギリスGPを、ふたつの視点でジャッジ。

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甘口編
信頼性向上に光
「もうトラブルは出ない」

 前戦オーストリアGPを終えた段階で、ホンダはアロンソに5基のコンポーネントを、バトンには6基のコンポーネントを使用している。オーストリアGPは8戦目だから、コンポーネントによっては、ほぼ毎グランプリのように新しいものに交換していたといってもいい。

 そのオーストリアGPではバトンが排気系センサーのトラブルでリタイア。アロンソはライコネンとの事故によって、パワーユニットに大きなダメージを負っていた。マクラーレン・ホンダは、「事故によるパワーユニットの損害は不可抗力」だとし、FIAと協議。事故によって損害を受けたコンポーネントに関しては、ペナルティなしで新しいものに交換できるよう要請した。しかし、イギリスGP期間中にFIAは結論を出せず、結果、ホンダはアロンソのマシンにオーストリアGPで使用したものとは異なるコンポーネントを搭載することになった。

 しかし、ホンダはアロンソのパワーユニットにも、そしてセンサーに不具合が生じたバトンのパワーユニットにも、新しいコンポーネントを使用することはなかった。つまり、イギリスGPで使用されたホンダのパワーユニットは、オーストリアGPまでの8戦目までにいずれかのグランプリで使用したユーズド・パワーユニットだったということになる。
 それだけではない。新井康久総責任者によれば、「ふたりのパワーユニットに使用されているコンポーネントは、スペックダウンしたものではない」という。このことはホンダがトークンを使用した改良型パワーユニットを登場させたカナダGP以降の仕様だったことを意味している。

 新井総責任者は明言はしていないが、オーストリアGPで事故に見舞われたアロンソのパワーユニットは、カナダGPで使用したものだったと考えられ、バトンはカナダGPかオーストリアGPのいずれかのグランプリで使用したコンポーネントを組み合わせて使用したのではないかと思われる。
 だが、カナダGPはレースで2台そろってパワーユニットにトラブルが生じてリタイアしている。ところが、イギリスGPでは2台ともほぼノートラブルだった。なぜなら、ユーズド・パワーユニットでも、中身は進化していたからである。トークンを使用せずとも、信頼向上を目的とした改善はFIAの了解を得れば、シーズン中、しかもすでに使用したパワーユニットに対しても行うことができる。
「イグニッションは前回、オーストリアGPに改良したものをレース前日に空輸していました。エキゾーストに関しても、オーストリアGPからしっかり対応しています。もう(トラブルは)出ないと思います」(新井総責任者)

 こうして臨んだイギリスGP。スタート直後の混乱でバトンは早々にリタイアしたが、一時最後尾まで落ちたアロンソは、10位入賞。そこにはホンダの目に見えない信頼性向上が貢献していたのである。

ホンダ辛口評価編:マクラーレン・ホンダの鎧にひび
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