モナコGPのレース後、マルシャでチーム参戦以来の初入賞を果たし、インタビューを受けながらパドックに帰ってくるジュール・ビアンキの後方で、広報とふたりだけで歩いてきた可夢偉の顔には近寄りがたいほど険しいものがあった。無言のまま100メートルほど歩いてケータハムのモーターホームに着いてから、ようやく可夢偉の口から出た言葉が「がっつり、クルマを壊されました」。壊された相手は、9位入賞したビアンキだった。

「シケインをショートカットしたから、ペナルティをもらわないようにキミ(ライコネン)をラスカスの手前で先に行かせて、インを閉めたんです。そうしたら、突然後ろから当てられた。しかも、コーナーの入口とかじゃなくて、コーナーの中で2〜3度グリグリっと。むちゃくちゃです」

 フロアとサイドポンツーンに大きなダメージを負った可夢偉のマシンは、右側半分のダウンフォースがほとんどない状態となり、ストレートでも真っすぐ走るのが難しい状態となっていた。走行後のマシンを見ると、ダメージの程度がよくわかる。

 可夢偉は無線で「あれはないだろ!!」と叫び、チームもすぐにFIAへ申告したが、「いつまで経ってもペナルティを受けないので、いったいどうなってんねんっていうレースでした。だいたいビアンキはセーフティーカーラン中に5秒ストップ&ゴーのペナルティを消化して、さらに5秒ストップ&ゴーのペナルティを受けていたのに入らなかったんでしょ。それでレース後に5秒加算て、そんなのおかしいでしょ」

※ビアンキのペナルティについては関連ニュースで解説
http://as-web.jp/news/info.php?c_id=1&no=56990

 今回のモナコGPではキミ・ライコネン(フェラーリ)もマックス・チルトン(マルシア)に追突されたのに、チルトンへの処分が戒告にとどまったことを非難していた。

 いずれにしても、ビアンキの9位入賞は確定し、マルシャはコンストラクターズ選手権で9位へ躍進した。しかし、可夢偉は「まだ、あきらめるのは早い」と語る。マルシャに抜かれて10位に下がったザウバーとの差は、レース結果だけを見ると、それほど広がってはいないからである。ザウバーのベストリザルトは開幕戦の11位と12位。一方、ケータハムは今回のモナコがベストで、11位と13位だった。可夢偉はビアンキに抜かれてもマシンを壊されていなければ、チームメイトのマーカス・エリクソンの前ではフィニッシュできていたはず。11位と12位でフィニッシュしていれば、コンストラクターズ選手権でザウバーを逆転できたのである。

 そういう意味でも、可夢偉がビアンキから受けた接触事故は痛かった。

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