F1第9戦ヨーロッパGP決勝がスペインのバレンシア・ストリート・サーキットで行われ、レッドブルのセバスチャン・ベッテルがポール・トゥ・ウインで今季2勝目を飾った。2位はルイス・ハミルトン(マクラーレン)、3位にはジェンソン・バトン(マクラーレン)が入った。BMWザウバーの小林可夢偉は7位入賞を果たした。
決勝日も晴天に恵まれたバレンシアはレーススタート時の(現地時間午後2時)気温が26度、路面温度は47度というコンディション。ブリヂストンは今週末のグランプリにスーパーソフトとミディアムという2種類のコンパウンドを持ち込んでいるが、スタート前のグリッドではフロントロウに並んだレッドブル勢をはじめ多くのマシンがスーパーソフトを装着した。
スタートではポールのベッテルが好スタートを見せたものの、2コーナーで2番手にポジションを上げていたハミルトンと軽く接触。ハミルトンはこの際にフロントに軽いダメージを負ったがその後のラップタイムには大きな影響を見せず。一方、スタートに失敗したマーク・ウエーバーはフェルナンド・アロンソとフェリペ・マッサにも先を行かれると、その後もさらにポジションを落とし、1周目を終えた段階で9番手までポジションを下げてしまう。
レースは先頭のベッテルが序盤からファステストラップを連発して徐々に2番手のハミルトン以下を引き離していく。8周目、9番手を走るウエーバーが早くもピットインを行うが、左フロントタイヤの作業に手間取りタイムをロスするとウエーバーは18番手に後退してしまう。
ベッテルは4秒弱のリードを築いて10周目に突入。しかしこのラップで後方のウエーバーがロータスのヘイキ・コバライネンと接触して大クラッシュを喫してしまう。ウエーバーのマシンは空中で1回転した後コースに叩きつけられ、マシンはそのままエスケープゾーン先のウォールでようやくストップ。マシンは大破したが、幸いにもウエーバー自身は自力でマシンを降り、ひとまず無事が確認されている。
このウエーバーのクラッシュによって5番手クビカ以下のマシンはセーフティカー導入のタイミングですぐさまピットに入り、ここでタイヤ交換の義務を果たす。その翌周にはトップを走る4台が同じくピットインするが、ベッテルとハミルトンがポジションを守ったのに対し、3、4番手のフェラーリ勢はアロンソが10番手、マッサは17番手までポジションを落としてしまう。また暫定3番手につけ、その翌周にピットインしたミハエル・シューマッハーはピットアウトの際にコース上の隊列が通過するのを待たされる恰好となり、マッサ同様大きくポジションを下げる結果となった。
その後レースは15周目に再開。この時点での順位はベッテル、ハミルトンがトップ2で変わらないものの、ピットインしなかった小林可夢偉が暫定3番手を確保。以下ジェンソン・バトン、ルーベンス・バリチェロ、クビカと続く。するとここからは3番手を走る可夢偉が後ろの隊列を抑えるかたちでトップ2台から遅れはじめ、レースはベッテルとハミルトンの一騎打ちの様相となった。20周目、レースを引っ張るベッテルとハミルトンの差は2秒弱。3番手の可夢偉は早くもトップから10秒ほど離され、後ろのバトン以降のマシンは数珠つなぎとなっていった。
レース25周目、ハミルトンに突然セーフティカー追い越しによるペナルティの審議がかけられるが、チームはハミルトンに無線でプッシュするよう指示。その後ドライブスルーペナルティが確定するも、28周目にペナルティを実行したハミルトンは3番手を走る可夢偉の遅れも手伝ってポジションを下げることなく2番手を守った。
これでレースはベッテルが大きくリードを奪い、後半は10秒ほど後ろを走るハミルトンとのギャップをコントロールしてレースを進めていく。またハミルトンの後ろを走る可夢偉は40周目を過ぎてもピットインする素振りは見せず快調に3番手を走行。一方で序盤のセーフティカー導入の際にいち早くピットインを行ったバトン、バリチェロ、クビカ、ブエミ、デ・ラ・ロサの5台にはインラップでの規定タイム違反の疑いがかけられ、レース後に審議されることがアナウンスされた。
レースは最後まで安定した走りを見せたトップのベッテルがそのままトップチェッカーを受け、第3戦マレーシア以来となる今季2勝目をポール・トゥ・ウインで飾った。2位ハミルトン、3位にはバトンが入った。4位以下はバリチェロ、クビカ、スーティル。
一方、54周目にようやくピットインを行った可夢偉は9番手でレースに復帰すると、56周目にアロンソをパスして8番手に浮上。さらにファイナルラップの最終コーナーでブエミをかわした可夢偉は18番グリッドから7位でフィニッシュするという素晴らしい結果を残した。