2月19日のバルセロナ合同テスト初日が終わり、暗くなったパドックで、マクラーレン・ホンダのスタッフたちが慌ただしく動き回っている。ホンダの上級スタッフは夜になっても対策のためのミーティングに追われ、すべての取材対応はキャンセルとなり、プレスリリースによる公式発表のみとなった。今季これまでにない、この状況が事態の深刻さを物語っている。

 バルセロナ・テストに先立ち、16日・17日に行われたフィルミングデーについて、地元スペインのメディアは「満足に走行することができなかった」と報道。だが、ホンダの新井康久F1総責任者は「2日間で(フィルミングデーの)制限100kmギリギリの17周を走行しました。どうして、あんな報道になったのかわかりません」と首をかしげて否定。「テスト初日はやることもたくさんあるので、しっかりと走りますから楽しみにしていてください」と自信を覗かせていた。

 その言葉を裏づけるように、初日を担当するジェンソン・バトンは午前9時のセッション開始から順調に走り出し、10時過ぎには7周連続走行で、この時点でのベストタイムを記録。走行は安定したペースで続き、メカニカルバランスの評価作業を行っていたという。さらに、11時過ぎに再び7周連続走行を行ったが、ここでピットに戻ってから、ガレージ内でジャッキアップされたマシンのリヤエンドが切り離され、ガレージ前の衝立が開くことは二度となかった。

 MGU-Kのシーリングに問題が発覚し、換装のためにパワーユニットを取り外さなければならなくなったため、この日の走行を打ち切ることが決まったからだ。

 ホンダは対策部品を用意するための準備に入ったが、おそらくは栃木県さくらの研究所から対策パーツが届くのは土曜。そのためテスト2日目は、初日と同じトラブル発生のリスクを背負って走るか、MGU-Kを使わない状態で走行するしかない。そのためチームは急きょ走行予定を変更し、フェルナンド・アロンソを2日目に起用、信頼性が回復するであろう3日目と4日目を、それぞれのドライバーに公平に振り分けることにした。

 新井総責任者は公式コメントで以下のように状況を説明している。

「問題再発の可能性を避けるためには、コンポーネントの設計を変更しなければなりません。残念ながら対策パーツは土曜日まで届かないため、明日も同じ問題に直面する可能性があります。こうした問題もテストの一部ではありますが、夜のうちに可能な作業はすべて行い、2日目も有意義な走行を行いたい」

 問題が発生したのはヘレス・テスト後にアップデートされたパーツなのか、それとも以前から使用し続けてきたパーツなのか現時点では不明だ。場合によっては、パワーユニットに根本的な問題が存在している可能性もある。

 バルセロナ合同テストはマクラーレン・ホンダにとって、きわめて重要なテストになるはずだった。ヘレスで初期確認を行い、トラブルへの対策を施して持ち込んだマシンとパワーユニットを走らせ、シーズン開幕へ向けて本格的なテストへと突入していくための4日間だ。

 その初日にパワーユニットの問題で走れなくなってしまったことは、決して楽観できる状況ではない。その一方で、午前中にバトンは好タイムを記録しており、トラブルフリーで走ることができれば……という希望も見えた。初日と同じ問題を抱えたパワーユニットで、2日目はどれだけのプログラムをこなすことができるのか。そして、対策部品によって後半2日間で問題が解決することを願うばかりだ。

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