WRC世界ラリー選手権で9連覇を果たしたセバスチャン・ローブとともに、2014年以降WTCC世界ツーリングカー選手権への移行を示唆したシトロエン。そのプランは確実に進行中のようで、WTCC第10ラウンドが行われた鈴鹿サーキットの会場には、シトロエン・スポールのテクニカルディレクターのクサビエ・メステラン・ピノンとローブの担当エンジニア、クレネント・ディディエが視察に訪れていた。

「2013年はアブダビのサポートでWRCに参戦するし、それ以降もWRC参戦を休止する予定はない」とラリーでの活動継続を明言したピノン。ただ、ピノンはWTCC計画について「アジアや南米、東ヨーロッパでレースが開催されているので、WTCCはマーケティング的に魅力的なシリーズ。それに車両規則もWRCに近いので、今までの経験を生かしやすい」と語る。

 さらに「マーケティングにもよるけれど、WTCCの参戦車両がシトロエンDS4になるのか、DS5になるのか、参戦時期が2014年になるのか、2015年になるのかは新しいレギュレーション次第だ」とのことだ。

 ピノンも語るように、WTCCではレギュレーションの変更が検討されているようで、WTCCをプロモートしているKSOの代表、マルチェロ・ロッティによれば「まだ導入の時期は決まっていないが、エンジンや車体はそのままに、空力面を大胆に変更する予定。新しいレギュレーションでは、よりレーシングなスタイルに生まれ変わる」とのこと。

 一説によれば、このレギュレーション変更のタイミングをめぐって、鈴鹿でデビューしたシビックWTCCを可能な限り長く走らせたいホンダと、新規レギュレーションに合わせてWTCCにデビューしたいシトロエンで駆け引きが行われているようだが、いずれにしても、このレギュレーション変更が、シトロエンのWTCC参戦プログラムを左右することだろう。

 ちなみに、独自に目にすることができた新規定車両の予想イラストを見るかぎり、次期WTCCのマシンは現行のWRカーのシルエットに近い。WRCにおいてはFIAとたくみなロビー交渉を行ってきたシトロエンだけに、このレギュレーション変更も「新しい規定は魅力的」(ピノン)とするシトロエンの思惑が影響している可能性も。

 いずれにしても、同週末に開催されていたWRC第12戦のイタリアをスキップしてテクニカルディレクターが視察に訪れているだけに、シトロエンの本気度が伺えるのだが、初めて見たWTCCについてピノンは「全てが新しいシステムなので、もし参戦することになればハードワークになるだろう」と言う。

 その一方で「シボレーの強さはクルマだけでなく、レースオペレーションも大きい」と語るほか、「サクセスバラストは嫌いなシステムだが、タイトルを獲得するためには、このバラストのマネジメントが重要になる」と細かく分析しているだけに、参戦が実現すればシトロエンはWTCCにおいてもトップ争いを演じるに違いない。

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