残暑厳しき折、いかがお過ごしだろうか。F1ジャーナリストたちの間で、ささやかれる裏話──そこには記事にできない極秘情報から、実に些細な与太話まで、興味深い内容がつまっている。『F1速報』サイトの人気連載、トム・ハンター氏(仮名)「パドック裏話」の番外編として始まった当企画。おかげさまで好評につき、2015年の夏もハンター氏の同僚であるジャーナリスト3名による「禁断の座談会」を開催することができた。相変わらずハンター氏は欠席というのも、もはや想定内。出席者の身元を明かすことはできないため、最小限のプロフィールで勘弁してほしい。

A氏:美食と美女には一家言ありの情報通ジェットセッター
B氏:どんなことも裏を読んでしまう、悪気のない毒舌家
C氏:ぱっと見ラテン系、パドック滞在時間No.1を誇るネタの宝庫

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

──暑いところお集まりいただき、ありがとうございます。F1の前半戦も終わりまして、みなさんバカンスを楽しまれていたようで、もうすぐ後半戦が始まってしまうんですが……。まずは、すっかり恒例のカレーの話から始めましょうか。

A氏:ちょっと待ってよ。これ、いったい何の取材?

B氏:いやいや、F1を語る上で「食」は欠かせないだろう。

C氏:フォース・インディアのカレーはシェフの移籍で、今年は食べられないかもしれないという話だったね。だが、結論から言うと……マレーシアで、しっかり美味しくいただくことができた。

──カレーは健在だったんですね。

C氏:昨年までのシェフは某メーカーにヘッドハンティングされてしまったんだけどね。偶然にもフォース・インディアへ取材に行ったら、ちょうどスタッフがカレーを食べていたんだ。

A氏:カレーが食べたくて、その時間に合わせて行ったんでしょ?

C氏:断じて、そんなことはない。トップチームから順番に話を聞いていくと、どうしても夕飯どきになってしまうんだ……不思議なことに。

A氏:昨年はジャパニーズ・スタイルのカレーには一般的なライス、インド風カレーにはバスマティ・ライス(長い粒のお米)と分けられていたけど、今年はインド風のキーマカレーと普通のライスだったね

B氏:なんだよ、結局ふたりとも食べてるんじゃないか。

──B氏は、よくメルセデスでお昼を食べていますよね。

B氏:メルセデスはヘルシーなメニューが多くて、入りやすくて、ランチボックスを用意してくれるのが一番うれしい。蓋つきの、しっかりした容器でナイフとフォークとスプーン、そしてスリーポインテッドスターの入った紙ナプキン!

C氏:でも、本来はチームのスタッフがエンジニアルームで食べるための裏メニューなんだよ。ロン・メドウが持っているのを見て『そんなのあるの?』って言ったら一個もらえた。

A氏:ランチボックスはスタッフ用に用意している裏メニューだから、我々が「ランチボックスちょうだい」って言うと、ちょっとイヤな顔をされる (笑)。

B氏:けしからん輩はボックスだけもらって、そこにフェラーリの料理を詰めたり。

──それはレギュレーションの精神に違反してますね。

C氏:これは単なる昼ごはんの問題じゃなくて、深い意味のある話なんだ。以前マクラーレンと組んでいるときのメルセデスは、もっと敷居が高くて、気軽にランチボックスをねだれる雰囲気じゃなかった。やっぱり成績の良いチームはパドックのみんなを「おもてなし」しようという気概があるんだよ。文字通り、みんなを「食わせる」立場なんだ。この1〜2年、一番にぎわっているのはメルセデスのホスピタリティだからね。

B氏:そういえば最近フェラーリはガラガラだな。

A氏:予算の問題もあると思う。メルセデスはペトロナスが提供しているから。そもそもパドックで朝ごはんを出してくれるようになったのはフェラーリが最初だけど。

B氏:それはマールボロ、フィリップモリス提供でね。

A氏:最近はマクラーレンの朝食が充実してると評判で、朝は大繁盛。

C氏:マクラーレンの食費は、どこから出ているんだ?

B氏:まわりまわって、ホンダなんじゃないの。

──じゃあ、みなさんホンダにも「食べさせてもらっている」ということですね。他のチームは、どうなんでしょう?

B氏:レッドブルは、めったに行かないな。外側はデカイのに、席が少ないから。あとウイリアムズは「イギリス人しか食べさせてもらえない」という噂があって、断られたらイヤだから挑戦する勇気がない。

A氏:取材のときは食べさせてくれるよ。広報を通さないとダメなのかな?

B氏:ウイリアムズは、ふらっと入りにくいんだよな。広報担当のマックス・コンスタンデュロスとか、すごく感じは良いんだけど。

C氏:彼は、あのボブ・コンスタンデュロスの息子だよ。お父さんはトップ3インタビューの司会をやっている大ベテランのジャーナリスト。

──鈴木亜久里氏の息子さんもFIAでインターンをしていたり、二世が活躍しているのはドライバーだけじゃないんですね。

C氏:ジョニー・ハーバートの娘もロータスで広報見習いをやっていたよ。たしかイギリスGP限定だったかな。ドライバーの話に戻すと、ハンガリーGPではネルソン・ピケの息子がポルシェカップに出場していた。

B氏:「あのピケJr.」じゃない息子だね。ピケって、いったい何人子どもがいるんだ?

C氏:はっきりしないけど、7人いるらしい。ひとりだけ娘で、あと6人は息子。

B氏:お母さんは、それぞれ違うのかな?

C氏:くわしくは確認していないけど、そのポルシェカップに出ていた6番目の息子ペドロが「一番才能がある」ってネルソン・ピケが自分から言ってきたんだよ。ピケは第1回ハンガリーGPの優勝者だから何かイベントで呼ばれたのかと思ったんだけど、「息子のポルシェカップを見にきた」って。オーストリアGPではデモランに出ていたけど、そのときも息子の応援を兼ねて来ていたらしい。ポルシェカップに出ているのは、来年F3へ参戦する予定だから、サーキットを覚える練習なんだと言っていたよ。

B氏:家族の話をするなら、今年は一度もロズベルグのパパ(ケケ・ロズベルグ)を見ていない気がする。

C氏:ハミルトンのお父さんも見ないね。

A氏:必ず来ているのは、トロロッソのふたり。特にフェルスタッペンのところは未成年がレースするときには保護者がついていないとっていうことで、来ているみたいだけど。

B氏:両親が離婚しているから、お父さん(ヨス・フェルスタッペン)が来るしかない。ちなみにマックスはお父さんと同じオランダ国籍になっているけど、お母さんはベルギー人で、いまでも「息子はベルギー国籍」と主張している。

A氏:ベッテルのお父さんは結構、現場に来てるよね。なぜか間違えて(笑)レッドブルにいることが多い。実際は知り合いが多いからだろうけど。フェラーリに行くと、イタリア語で話さないといけないし。

C氏:その点、ベッテルはイタリア語うまいよね。彼はイギリス英語も堪能。

──今年ジャーナリストで、どの国が増えたとか減ったとか、ありますか。

A氏:スペイン人で毎回来ている人は減ったような気がする。

C氏:昨年からロシアGPが始まったのに、ロシアのテレビ局が来なくなっちゃった。

B氏:F1の人気が下がったというより、経済封鎖の影響だけどね。そうかと思うと自国グランプリがなくて、ドライバーもいないポーランド人のジャーナリストが毎戦ちゃんと来ていたり。

A氏:中国はインターネット系のテレビ局が来てるから、増えている。F1というより、ドライバーへの注目度が高くて、キミ・ライコネン人気は変わらず。

──なるほど。ライコネンと言えば……いよいよドライバーがらみの噂について話を聞いていきたいと思います。と、いうところで、ちょっと休憩しましょう。

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 こうなったら毎回カレーの話をしないと気が済まなくなりつつある覆面座談会。第2回は、何かと話題のライコネンの意外な一面が明らかになるかもしれない。今回は「ベルギーGPの予選が始まるまでは夏休み」を合言葉に怒涛の更新予定なので、お見逃しなきよう。

本日のレースクイーン

佐々木美乃里ささきみのり
2025年 / スーパーGT
KeePer Angels
  • auto sport ch by autosport web

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

    RA272とMP4/5の生音はマニア垂涎。ホンダF1オートサロン特別イベントの舞台裏に完全密着

  • auto sport

    auto sport 2025年6月号 No.1608

    [特集]レッドブル 角田裕毅
    5つの進化論

  • asweb shop

    STANLEY TEAM KUNIMITSUグッズに御朱印帳が登場!
    細かい繊細な織りで表現された豪華な仕上げ

    3,000円