GAZOO Racing 86/BRZ RACEは27日、宮城県のスポーツランドSUGOで第2戦の決勝レースが行われ、谷口信輝(コウベトヨペット86)が初優勝を飾った。2位は山野直也(CABANA BS μ86)、3位は青木孝行(ケーエムエス86レーシング)となった。

 スポーツランドSUGOに舞台を移し、第2戦が開催されたGAZOO Racing 86/BRZ RACEは、4月27日に予選と決勝を行う1デイイベントとなった。26日には専有走行が2セッション設けられ、ここでトップの谷口が1分40秒666を記したが、これは昨年のポールタイム、43秒805より実に3秒も速い! その最大の理由は、SUGOの路面が全面的に改修されたため。もっとも、まだまだ予選では上がるとの予想もあり、ふだん以上に注目されることになった。

 実際にフタを開けてみると……。今回は50台の参加があり、ふたつに分けられた最初のグループでは、開始から間もなく谷口が40秒029をマークし、F3-Nクラスでデビューウィンを飾ったばかりの久保凛太郎(CG ROBOT RT86NC)が41秒193で続くも、終盤になって山野が40秒107を出して、間に割って入る。

 続いてのグループでは青木が40秒904をマークしてトップに立ち、その後も入念にクールダウンを行ってから再度アタックをかけるが、谷口のタイムは上回れず。その結果、谷口が前回に続きポールポジションを獲得する。なお、青木の後ろには後藤比東至(SEVポテンザED86MART)、大西隆生(オートバックスG7 86ポテンザ)とブリヂストン勢が並ぶことになった。

 大幅なタイムアップを果たした谷口に予選後、話を聞くと驚愕の事実が。「これだけの短縮は圧倒的に路面。去年と僕らは全然違うタイヤを履いているし、予選でドライがみんなぶっつけ本番だったから、条件は違うんだけど。路面がすごくグリップするから実は逆の悩みが出ていて、新品のタイヤだとグリップが過剰すぎて、逆に食われちゃう傾向があるんです。だから、僕はこないだのもてぎで使ったタイヤで走ったんです」と谷口。セオリーどおり新品タイヤでアタックして、納得のタイムを出せなかったドライバーも少なからず存在した。

 注目の決勝では、谷口がスタートを決めて、なおかつ青木と山野が激しくやり合っていたこともあり、1周で1秒の差をつけた後もなお逃げていくことに。3周目になると4番手争いも激化し、後藤を先頭に久保、大西、水谷大介(ネッツ東京86)、佐藤晋也(OTG TN滋賀86)が数珠つなぎ。まさに一瞬即発の戦いが最後まで続くものと思われた。

 ところが、6周目に入ってアクシデントが。バックストレートの入口で転倒車両があったため、セーフティカーランが4周に渡って行われたのだ。そのため、せっかく3秒以上としていた谷口のリードが水の泡となってしまう。後に山野は語る。「後半勝負の内圧にしていたから、差も詰まってチャンスだと思っていたんですが」と。だからこそ、リスタートに賭けていたはずが……。

 勢い良く加速していく谷口とは対照的に、青木の加速が鈍く、山野は完全に封じ込められてしまう。青木がミス? いや、そうではなかった。「谷口さんとやり合っても今回ばかりは勝てそうもなかったし、後ろの直也に勢いがあったから、どうせなら勝つのは同じタイヤを履くドライバーであってほしいと自分で判断して」と青木。

 青木の思惑を察知した谷口は大量のリードを稼ぎ、そのまま逃げ切りに成功。その一方で「抑えてやろうと思っていたけど、無理だった」という青木を12周目の1コーナーで捕らえ、山野が2番手に浮上する。「序盤に谷口さんに離されてしまったのは痛かったし、リスタートの青木さんはまぁ仕方ない。でも、意地でも抜いてやろうと思っていました」と山野。

「序盤にあれだけマージンを作れたから、SCさえ入らなかったら、普通に逃げ切れたと思う。正直、SCが入った時は『ヤバい!』と思った。直也が速そうだったからね。リスタートでは青木が考えてくれたみたい。それにしても、やっと勝てましたよ!」と、86/BRZレースでの初優勝に谷口はホッと胸をなで下ろしていた。

 もうひとつの激闘、4番手争いにはその後の変動はなく、後藤、久保、大西、水谷、佐藤の順でフィニッシュ。百戦錬磨のハコ使いたちに揉まれながらの、久保の健闘が大いに光る格好となっていた。

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