FIAが、シンガポールGPにおけるルノーの不正疑惑に関し、ルノーのディレクターオブエンジニアリング、パット・シモンズに対し、真実を述べれば処罰を下さないという取引を持ちかけたようだ。
ネルソン・ピケは、2008年のシンガポールGPで、チームの指示で故意にクラッシュし、チームメイトのフェルナンド・アロンソの優勝に貢献したとFIAに対して申し立てている。FIAは調査を行った後に、世界モータースポーツ評議会の臨時会合を行うことを決定、ルノーを召集した。ルノーチームは11日に声明を発表し、ピケ親子に対する訴訟手続きを開始したことを明らかにした。これに対しピケは自分は真実を言っていると主張しており、FIAは、そのとおりであればピケは処罰を免れると保証している。
それと同様の保証をFIAはシモンズに提案したようだ。この件に関する情報を完全に提供する見返りに処罰は免れると約束されたシモンズが、もしこれを受け入れて不利な証拠を提出するとすれば、これまで一貫して不正については一切知らないと主張しているマネージングディレクターのフラビオ・ブリアトーレは不利な状況に陥ることになるだろう。
イギリスのザ・タイムズ紙は、ベルギーGPにおいてFIA調査官がシモンズに行った聴取から、ピケの主張が根拠がないものではないと推測するのが妥当であるとの結論に至ったと報じている。シモンズは、重要な質問に対して繰り返し回答を拒否しているという。
ピケに対してクラッシュするよう指示したのか、クラッシュする場所を具体的にさし示したのかとの質問に対し、シモンズは「あなた方に嘘を言うつもりはない」、「私は嘘を言ってはおらず、少しの間自分の立場を留保しているのだ」と述べている。
ルノーに対して有罪という裁定が下された場合、WMSCはブリアトーレに対してF1からの永久追放の処分を下す可能性もあり、ブリアトーレの20年におよぶキャリアは今、危機に瀕しているといえるだろう。