モナコGP前日の水曜日、昨年チャンピオンのセバスチャン・ベッテル(レッドブル)、選手権でポイントリーダーに立っているルイス・ハミルトン(メルセデスAMG)にも負けないくらい多くの報道陣が駆けつけていたのが、パストール・マルドナド(ロータス)だった。理由は、グランプリ直前に、母国ベネズエラで新しくスポーツ大臣となったアントニオ・アルバレスが「もうこれ以上、ベネズエラがモーターレースに資金を投資することはない」と話したという報道がなされたからである。

 ロータスのスポンサーである「PDVSA」は、マルドナドが持ち込んでいるベネズエラ国営の石油会社で、ロータスに限らず、これまでずっとマルドナドをサポートしてきた会社だ。その金額は年間数十億円規模と言われ、2011年からF1に参戦し続けているマルドナドには、すでに100億円以上の資金が注入されている。これほどの大金が捧ぎ込まれたのは、前大統領のウゴ・チャベスがモータースポーツに力を入れていたからだが、そのチャベスも昨年他界。後ろ盾を失ったマルドナドに逆風が吹くのは自然な流れである。

 ところが、モナコGP前日にロータスで開かれた会見で、マルドナドはそのウワサを否定した。

「みんな勘違いしている。なぜなら、そう言っているのはスポーツ大臣で、PDVSAは何も発表していないんだから。それにPDVSAは僕をサポートしているわけでなく、ロータスとスポンサーシップ契約を結んでいるから、勝手にやめるわけにはいかない」

 そう言って笑うマルドナドだが、このご時世で数十億円もの資金を自由に国から引き出し続けるのが簡単なことではないことは、マルドナドも知っていることだろう。笑顔がぎこちなかったのは、気のせいばかりではないだろう。

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