F1昇格を目指して今季、GP2第2戦に参戦する伊沢拓也。前回の開幕戦バーレーンから約1カ月の間、ようやくチームの本拠地のあるパリに住居を構え、ヨーロッパでの生活に馴染み始めた。ドタバタに近い形で迎えた開幕戦の後、今度は未体験のサーキットが続くヨーロッパ・ラウンドを迎える。その伊沢に今週末への手応えを聞いた。
「チームのシミュレーターでこのサーキットは走行しました。前回のバーレーンはテストがあったけど今回は初めての走行なので、前回のように上手く行くのは難しいかもしれない」
伊沢の口からは、いきなり厳しい言葉が出てきた。今週末のバルセロナ、カタルーニャ・サーキットはF1のテストでよく知られ。でヨーロッパでは馴染みの深いサーキットだが、伊沢にとっては初走行。それにも関わらず、練習走行はわずか45分と厳しい条件が続く。
「練習走行を走って、すぐに予選。そういうスケジュールで迎える最初のレースになるわけですけど、正直、まだまだ走行のイメージは湧かない(苦笑)」
それでも、ポジティブな面も多い。開幕戦を振り返ると、伊沢の課題は大きく分けてふたつ、予選のニュータイヤの使い方と、決勝でのスタートにあったが、2つ目のスタートについてある程度の改善策が見つかったのだという。
「ハンドクラッチでスタートする方法は3通りあるのですが、今回は自分のやりたかった方法でできる。なので、前回のスタートのような失敗はしないはず。開幕戦後に日本に帰ったときに、吉本大樹さんからもアドバイスを頂いて、いろいろと分かりましたし」
GP2経験のある吉本からスタートの方法を聞いたり、スーパーフォーミュラのハンドクラッチスタート方法を確認するなど、実走機会が少ない中でも伊沢はできる限りのことはやった。未体験のサーキットについても、これまで何度も走行してきた国内での経験を当てはめれば対処はしやすい。
「バルセロナのコースは中高速が多いと言われていますが、鈴鹿やSUGOのように高速コーナーが連続するわけではない。国内で言うと、岡山のようなイメージでいます。まだ実際に走っていないからまだ分からないけど、ここで気をつけなきゃいけないのは、フロントタイヤ。バーレーンはタイヤの摩耗はリヤがきつかったけど、このサーキットはフロントにきつい。僕も比較的、フロントが早く摩耗する傾向があるので、ここでどうか、ですね」
最後に、今週末のテーマ、目標についてきいた。
「順位に関係なく、まずは予選で攻めきって、クルマの限界を見極めるのか、どこに標準を合わせるのか。まだまだ自分の本能の赴くがままに走行している感じがないですからね。このパーケージでそれじゃ結果が出ないのかもしれないけど、まずは今までやってきたように自分の感覚、本能で走れるようにしたい。どこかでセーブして走っている感覚があるので、それじゃ楽しくないし、気持ちよくないですからね」
GP2は金曜日に練習走行と予選、そして土曜、日曜と1レースづつ開催される。伊沢がどんな戦いを見せるのか、まずは明日の予選での、伊沢の“本能走り"が鍵になる。