雲ひとつない青空から鋭い日差しが降り注ぐホッケンハイム。気温34℃、路面温度は57℃という酷暑のなか、GP2第6戦ドイツ決勝1はスタートした。

 レッドシグナルが消えて先頭を奪ったのは伊沢拓也のチームメイト、2番手グリッドのストフェル・バンドーン。PPのジョリオン・パーマーよりも動き出しが速く、トラクションのかかりもよく1コーナーの進入までにあっさりとトップを奪う。後続は大きな接触もなくノーアクシデントで1コーナーを抜けていった。

 トップはバンドーン、続いてパーマー、3番グリッドのステファノ・コレッティ、フェリペ・ナスール、アルサー・ピックが続く。伊沢拓也は23番グリッドから「あまり良くなかった」というスタートながら1コーナーを抜けた時には19番手までポジションアップ。しかし、次の2コーナーで20番手スタートのアルテム・マルケロフがイン側からのブレーキング時に単独スピンし、数台を巻き込みクラッシュ。アウトにいた伊沢は接触を回避したものの、これでセーフティカー(SC)導入となる。

 このセーフティカー導入の際に伊沢はマルコ・ソレンセンにかわされてポジションをダウン。「SCボードが提示された時に抜かれたので、無線でチームに伝えて抗議したのですが、SCボードが出たときにはサイド・バイ・サイドだったという判定でした。明らかに僕の方が前だったのですが……」と、伊沢はレース後も納得がいかない。そして、その前に出たソレンセンに付き合わされる形でSC明けの序盤戦を過ごすことになる。

 10周目前後からオプション(ソフト側)タイヤでスタートしたドライバーがタイヤ交換のため、ピットに向かい始める。予選の上位陣はほとんどがプライム(硬めの)タイヤでスタートしており、終盤にピットインする戦略。伊沢もプライムで、前半のスティントでタイヤマネジメントして、引っ張る方針だ。

 ここで15番グリッドのミッチー・エバンスが16周目にタイヤを交換して、そこから序々に順位を上げ始め、20周を過ぎたあたりでは1ピット勢のトップに立つ9番手までアップ。ノーピット陣営では、伊沢が最後尾ながら8番手を走行。上位陣の順位は変わらずに終盤のピットインを迎える。

 終盤戦、ノーピット陣営の中では伊沢が最初に動く。24周目にピットに入り、オプションに交換。そこで「アンチストールシステムが入ってしまって、リスタートが遅れた」と話すように、3〜4秒ロスするものの、ピットアウト後は順位を争っていたソレンタムをアンダーカットして前に出る。今回のレースでは気温が高温になったためかオイルプレッシャーが上がり、伊沢と同じような症状でピットストップでリスタートに手こずるマシンが続出。数十秒ロスするマシンも出るなど、中位以降の順位は目まぐるしく入れ替わることになる。

 上位陣は25周目に続々とピットイン。トップのバンドーンも無事ピットを済ませたものの、インラップではエバンスにトップを奪われ2番手に後退してしまう。3番手にはパーマーがそのままバンドーンに続いており、この3台が1〜2秒の間で接近戦を繰り広げる。

 レース終盤にはタイヤに厳しい高気温になったため、グリップが厳しいクルマが多くなり、接触やオーバーランが頻出する状況となる。ピットアウト後は17位でコースに復帰した伊沢も、徐々に前のクルマをかわして14位、13位と順位を上げていく。

 それでもトップの3台は接近戦のまま順位を保ち、そのままゴール。予選15位から、エバンスが見事、逆転優勝を飾った。伊沢も13位でフィニッシュ。予選23番手から10ポジションアップしてレースを終えたが「もともと期待が高かったレースですし、求められている結果はこの順位ではないので、嬉しくはありません。課題はやっぱり予選。ただ、今回、クルマのセットアップを変えて、新しい方向に踏み出したことに手応えを感じられたことが収穫です」と、その表情に笑顔はなかった。

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