NASCAR K＆N参戦のHRE、第10戦は13位完走

Hattori Racing Enterprises （HRE）
NASCAR K＆N Pro Series East 第10戦 ＜決勝＞

ジェシー・リトル：レース終盤後続車にヒットされ無念の13位

2015年8月7日（金） 6:15pm（東部時間）
レースタイトル：Bully Hill Vineyards 125
サーキット：Watkins Glen International（NY州）
周回数：51 Laps
レース距離：124.95 マイル（201Km）ロードコース
出走台数：24台

Jesse Little （#1 KOBE TOYOPET Toyota Camry）（予選：13 位）／決勝：13位

　8月7日（金）、NASCAR K＆N Pro Series East第10戦がニューヨーク州Watkins Glen Internationalで開催され、Hattori Racing Enterprises（HRE）は「神戸トヨペット」の支援を受け、カーナンバー#1「KOBE TOYOPET Toyota Camry」で参戦した。

　第9戦に続きドライバーはジェシー・リトル（Jesse Little／18才／ノースカロライナ州出身）。同シリーズに最年少で参戦を開始しルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得、その後もポールポジション、優勝と好成績を重ね、前戦アイオワでもEastシリーズトップでゴールを決めた若きエース。

　決勝の舞台となったWatkins Glen Internationalは、ニューヨーク市街から北西約300Kmに位置する一周2.45マイル（3.94Km）のロードコース。アメリカの公道レース発祥の地で60年以上の歴史を持ち、市街地にあったコースを近郊の丘陵地に移築してからは、1957年にNASCARを初開催、60～70年代にはF1アメリカGPの舞台ともなった伝統のロードコースである。K＆N Proシリーズに続き日曜日にはNASCARトップカテゴリーのSprint Cupシリーズ、Xfinityシリーズも併催され、ニューヨークからも多くのNASCARファンが詰めかけ、歴史ある町は賑わいを見せた。

　決勝日の8：30amから行われたフリー走行で、ジェシーはトップと0.25秒差で3番手のタイムをマーク、マシンの仕上がりの良さをアピールした。しかしセッション終盤にエンジンにトラブルが発生、このためチームは最終フリー走行を見送り、急遽＃1号車のエンジン積み替えを敢行、限られた時間内にマシンを仕上げ2：40pmからの予選にジェシーを送り出した。ロードコース方式で行われた予選は、25台が3グループに分かれそれぞれ8分間のタイムアタックで争われ、＃1号車は十分な走り込みができていない状態ながら13番手のタイムで決勝へと進んだ。

　7日（金）6：15pm 決勝レースがスタート。オーバルでのレースが主となる同シリーズにおいてロードコースでの決勝は、スタート直後から接触やマシントラブルが相次ぎ、序盤から度々イエローフラッグが掲出される荒れた幕開けとなった。ジェシーは状況を慎重に見極めながら走行を続け、23周目この日4 目となるイエローからのリスタートで得意のスタートダッシュを決め8番手に浮上、いよいよ追撃を開始した。

　レース中盤、31周目に設けられたブレークタイムで全車ピットイン。＃1号車も、研修でチームクルーとして参戦した神戸トヨペットの中島 剛氏がリアタイヤを交換し、マシンに微調整を加えHREスタッフと息の合った迅速な作業でマシンをコースへと送り出した。

　レースも終盤に入り残す所10周となった41周目、この日最後のイエローフラッグが解除されると、ジェシーは完璧なリスタートを決め5番手までポジションを上げ、上位フィニッシュを目指し最後の追上げを開始した。しかしこの後、トップ集団ではテール to ノーズの激しい接近戦となり、＃1号車はコーナー侵入時に背後についていたマシンにヒットされ押し出される形で痛恨のスピンを喫してしまう。ジェシーはすぐに態勢を立て直しコースに復帰するも大きく順位を落とし、伝統のロードコースでの決勝を13位でチェッカーを受けた。

■神戸トヨペット：中島 剛氏
「日頃からレースは好きでサーキットへ観戦に行くことはありましたが、NASCARという米国最大のモータースポーツのチームでクルーとして現地スタッフと共に働けたことは大変貴重な経験となりました。チーム合流当初は言葉の壁に戸惑い勉強不足を思い知らされましたが、クルーチーフのJJ始めスタッフ皆が親切にリードしてくれたので、徐々にスタッフとの距離も縮まり共同作業もスムースにできるようになりました。決勝日の予想外のエンジン交換は予選までに時間のない中での作業でしたので、チームメンバー全員からかなりの緊張感が伝わってきましたが、その中で彼らと気持ちを１つにして作業した事でお互いの信頼関係が築けたように思います。またレース前にはNASCARの関連施設やシャーロットの販売店等を視察し、日本では見る事感じる事ができない経験もさせていただきました。年明けにトヨタ自動車の出向でパナマ駐在を控えていますが、今回この研修に参加した価値は計り知れないものがあり、ここで学んだ貴重な体験を糧に新たな世界へチャレンジしたいと思います。」

■チーム代表:服部 茂章
「初回のフリー走行終盤にエンジン・トラブルが発生しましたが、チームの迅速な作業で無事決勝に臨むことができました。レースは徐々にポジションを上げながら、ゴールを目前に後続車にヒットされ結果を出せなかったことは残念ですが、チームもドライバーも発生したトラブルに全力で立ち向かい、最後まで諦めないで上位を目指した事ついては評価したいと思います。研修生の中島氏は、来年からパナマへの出向が決まっていると聞いていたので、海外での仕事の進め方や習慣の違いを肌身で感じて、アドバンテージを持って海外赴任に臨んでもらえればと思います。全てが英語の世界に飛び込み最初は戸惑うこともあったようですが、一旦マシンに向かえば指示に対して的確な作業を行い日本トップクラスのエンジニアの力を見せ、徐々にチームの一員として溶け込んでくれました。今回の研修で経験したことを活かし、赴任先でも日本を代表するエンジニアとして、またグローバルな感覚を持った国際人として活躍してほしいと思っています。」

　レースの模様は「NBC Sports Network」にて全米、カナダ、ラテンアメリカで8月13日（木）7:00pm（東部時間）より放送予定。