世界ラリー選手権(WRC)に参戦するドライバーと国際自動車連盟(FIA)でラリーディレクターを務めるヤルモ・マホネンは、WRカーに取り付けられている“SOSボタン”使用時の対応について協議することとなった。
5月に行われたWRC第5戦ポーランドでは、SS10走行中にロレンツォ・ベルテリがクラッシュ。このアクシデントでベルテリは頭部を強打したためSOSボタンを使用したが、大会主催者は救急隊を派遣せず、適切な対応を行わなかったと報じられている。
ポルトガル自動車協会議長でWRCコミッション代表も務めるカルロス・バルボサは、ベルテリの容態に問題はなく対応は適切だったと述べ、「ベルテリは早く母親の腕に抱かれたかったのだろう。競技が中断されれば、大富豪の母親がヘリコプターで迎えに来てくれる。救護班を待つ必要がなくなるわけだ」とベルテリを批判している。
「(ベルテリの故郷である)イタリアでは通用する手段だろうが、ポルトガルではそうはいかない」
2013年~14年WRCチャンピオンのセバスチャン・オジェは、バルボサの発言は度を越したものであると語った。
「SOSボタンが押されたら、ただちに競技は中止され、救護班が出動する。とてもシンプルなルールだよ。アクシデントの内容を詳しく知っている訳ではないから、どちらが正しいかは分からない。ただ、バルボサの発言は一線を超えている」
マホネンは、「今回の一件に関して、すべてを把握している訳ではないが、結果的にベルテリは重傷ではなく、主催者側の判断は正しかったと言える。しかし、
主催者との事前ミーティングでは、SOSボタンが押された場合、ただちに現場へ救急隊を送ることを確認している」と述べた。
「とても明確なルールだ。ボタンが押されたら救護活動がスタートする。万が一、手順が守られなかった場合、主催者に対しペナルティを科す。わざとルールを無視した場合、代償は大きなものになるだろう」
WRCに参戦するドライバーとコドライバー、マホネンによる会合は7月2日から始まるWRC第7戦ポーランドまでに開催される予定だ。