2014年のヘレステストで、ライバル勢のニューマシンを目にしたザウバーの開発陣はこう悟っていたに違いない。それは「自分たちが2014年シーズンにポイントを獲得するのは難しいだろう」という悲観的な想いだ。そしてその悪い予感は的中し、2014年のザウバーは一度も入賞することなくシーズンを終えた。これは1993年にF1に参戦して以来、初めてとなる屈辱だった。

 ただし、ザウバーの開発陣に絶望感はなかった。それはC33がコンペティティブなマシンでない最大の理由がシャシーにあったのではなく、重すぎるフェラーリのパワーユニットに起因していたからだ。昨年、レギュレーションで定められていたマシンの最低重量は692kg。新しいパワーユニットが重くなることを想定して、FIAは2013年から50kg最低重量を引き上げたものの、C33はこの数値内にとどめることができなかった。長身のエイドリアン・スーティルにいたっては、さらに10kgもオーバーしていたのである。

 したがって、2015年にフェラーリのパワーユニットが改良されれば、確実にパフォーマンスが上向くことはザウバーの技術者たちもわかっており、フェラーリサイドからその詳細を聞いたザウバーの開発陣は、C34の開発をモチベーションを保ちながら行うことができたのではないだろうか。

 そのモチベーションとは、肥大化したマシンの贅肉をそぎ落としていく作業である。というのも、昨年はパワーユニット自体も重かったが、それにともなう補器類などもライバルに比べて大きく、結果的にかなりボリュームのあるマシンに仕上がってしまった。中でももっとも空力に関係していたのがグラマラスなサイドポンツーン。そこでC34ではそのサイドポンツーンを非常にコンパクトにしてきた。

 もうひとつ、C34が昨年よりもコンパクトになったのがホイールベースた。ザウバーは公表していないが、画像を見る限り、C34のホイールベースは昨年よりも短くなっているように見える。一般的に、空力的にはロングホイールベースのほうが良いとされているが、車体が長い分重量も増す。ザウバーの開発陣は空力的なデメリットよりも、車重を落としてバラストを積むほうが得策だと考えたのである。

 そして、その開発陣たちの決断は最初のヘレステストを見る限り、間違ってはいないようだ。昨年のヘレスでは4日間とも下位グループに沈んでいたザウバーだったが、今年は2位、2位、1位、2位と幸先のいいスタートを切っている。まだ、開幕まで1カ月あるため、ライバル勢との力関係はまだ明確にはなっていないが、昨年とは明らかに違う勢いがC34には感じられる。

  昨年、悲観的な気持ちで開幕を迎えたザウバー。あれから1年が経ち、いまザウバーの開発陣たちが感じているのはプレッシャーだ。それは開発力のあるトップチームに追いつかれる前のシーズン序盤で、少しでも多くのポイントを積み重ねるというポジティブなプレッシャーだ。

本日のレースクイーン

八乙女あんなやおとめあんな
2026年 / スーパーGT
WinG
  • auto sport ch by autosport web

    20歳でスーパーGTの最高峰に挑む“新人”小林利徠斗に迫った『FORMATION LAP』2026年第1弾が6月5日に公開

    ふつうとちょっとズレてる──20歳で最高峰に挑む新人ドライバー【FORMATION LAP Produced by auto sport】2026 Episode 1

  • auto sport

    auto sport 2026年8月号 No.1622

    [特集]│多│角│検│証│
    なぜ、日本人はF1で勝てないのか?
    いつか夢を実現するために過去から学ぶ

  • asweb shop

    掘り出し物満載の特別企画『モデルカー祭り!』がautosport web shopで開催中。6月25日まで

    レア物や特別価格商品が満載!
    6月25日まで